ひげを伸ばせ小笠原!
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魂(ガッツ)のフルスイング―泥臭く、ひたすら振りぬく!
著者:小笠原 道大 |
小笠原道大様。私の野球への情熱に再び火をつけてくれたのはあなたでした。野球のルールも知らないのにプロ野球チップスのカードを集め始めた息子の部屋に、最初に飾られたのもあなたの写真でした。“侍小笠原”とは良く言ったもんで、鋭い目つき、ひげ面のあなたのその幕末の浪人のような風貌と、常にフルスイングのそのバッティングは、3年前のパリーグ・プレイオフ第1ステージ3戦目でのホームラン以来、常に私を魅了し続けました。土曜日夕方5時からテレ東でやっていた日ハムのアニメも欠かさず見ました。息子は誰も日ハムを応援していなかった頃から、日ハムのキャップを被り、妻も冷凍食品を扱うパートからハムを作る仕事に自ら志願しました。(うそ、これは野球とは関係ないです。)それなのに!それなのに!何故??なんで?どうして?シンジラレナーーイ(ヒルマン監督の真似してご一緒に!)、なんでジャイアンツなのヨー。しかもひげまで剃っちゃってさあ。(せめて岩村が抜けた後のヤクルトなら・・・)
詩人長谷川龍生に『王貞治が6番を打つ日』という詩があるらしい。らしい、と言うのは私は読んだことが無いからだが、これを受けて、以前、松村雄作氏は『アントニオ猪木が前座試合に出る日』というテーマでエッセイを書いている。つまり、応援していた選手が衰えてゆき、それと同時に、応援していた人たちの人生も変わってしまうという内容の詩、エッセイである。
『小笠原道大がひげを剃った日』。小笠原は衰えたわけではないので、意味は全然違う。全然違うが、私の中で何かが変わってしまうのは確かだろう。憎っくきはジャイアンツである。きっと、北海道と関東で家族と離れ離れに暮らし、顔にこそ出さないが、さみしい思いをしていた侍のほっぺたを札束でぴしぴししたのだろう。可愛そうな小笠原、無敵の剣豪はついに悪大名に召し抱えられてしまったのである。
来シーズン、私は鬼になろうと思う。愛する飛雄馬をセンジンの滝に突き落とすべく中日のユニホームを着た一徹おやじの気分である。ジャイアンツ戦なら毎晩テレビ中継があるので、今までの声援を罵声に変えて、ひげを伸ばせと野次りつづけよう。城を出ろ!路上に戻れ!小笠原!
でも、やっぱり、かっこよすぎて、ジャイアンツを応援するようになっちゃったりして。
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