『カーズ』~追憶のルート“6”
今日がクリスマスなのでこれが終わるといよいよ仕事納めまであと数日ということになる。私は毎年、仕事の最終日の深夜か翌日の早朝、家族を連れて実家のある福島県いわき市に帰ることにしている。方法はいつも首都高か関越を抜けて常磐道を通っていく。常磐道は三郷インターからきっかり2時間でいわきに着くので、東京都内の混雑を上手く回避できれば、それ程のドライブではない。
しかし、この常磐道ができるまでは福島のいわきまでと言えども、なかなかの“冒険”だった。小さい頃、私は千葉の市川市に住んでいていわきは母の実家だった。夏休みや年末、父の運転するイスズ・ジェミニに乗って6号国道をひたすら北上していくのだが、私はこの“長旅”が好きだった。
普段見慣れない色々な町並みをゆっくり眺めながら、父がつけるカーラジオのAM放送の流行歌に耳を傾ける。父が変な車や歩行者を見かけると勝手にほら話を面白おかしくでっちあげて話してくれる。車が渋滞したり父が運転に疲れてくると、すぐに入れそうな土地土地のラーメン屋や定食屋に寄って食事をしていく。そんなこんなで6時間か7時間でいわきの“常磐ハワイアンセンター”の看板が見えてくるのだが、それは当時チビッコだった私にとって至福の旅だった。
後年、私がジャック・ケルアックの小説やヴィム・ベンダースのロード・ムービーに愛着を示すのも幼少期のこの幸福な体験があったからだと自己分析している。ある場所から次の場所に移動している感覚。できれば一生この感覚の中に身を浸して生きていきたいと本気で考えていたこともある。
ディズニー・ピクチャーズの映画『カーズ』には高速道路が出来たことによって交通量が激減し、地図からも名前が消えてしまった道“ルート66”と“ラジェター・スプリングス”という町が出てくる。生意気で傲慢な一匹狼的なレーシング・カー“ライトニング・マックィーン”がひょんなことから迷い込む町だ。そこで出会う様々な車との交流によってマックィーンが成長していく物語なのだが、私は“トイズ・ストーリー”以来、久々にこの子供向けのアニメを見て泣けてしまった。
この映画を製作するにあたって、スタッフは本当の“ルート66”を取材したという。そのエピソードは現在市販されているDVDにおまけ映像として入っているが、そのインタヴュー映像の中に『今の人は楽しみに行くために走る。昔は走るのを楽しんでいたのに。』という胸を打つ言葉が出てくる。
“ルート66”は一時廃れてしまったが、現在はその保存活動によって“歴史街道”のような形で、古き良きアメリカの旅を楽しみたい人々によって再び人気を集めていると言う。この映画を見た後、私は早速、ネットで“ルート66”を調べると、日本人の中にもこの旅を楽しんでいる人が結構いるようで、その写真付きのページを見ているだけで楽しい。
ところで、昨日、私が買ってきたトミカの“ライトニング・マックィーン”は何故、青なのだろう?映画では赤なのに。
映画には声優として私がスティーブ・マックィーンと同様、愛して止まないポール・ニューマンが渋い役どころで出演している。もし、彼が声をやった“ドッグ”のトミカが発売されたら絶対買おう!このポール・ニューマン、マックィーンとは『タワーリング・ィンフェルノ』以来2度目の競演である??また、先程引退した皇帝ミハエル・シューマッハも最後にちょっと出てくる。
『お前が大きくなって車の免許を取ったら、二人で“ルート66”に行こう。』と、息子と約束した。夢がまた一つ増えた。
今年は久々に6国(ロッコク)で帰ろうかな・・・・・。
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