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映画『フラガール』の衝撃

Hulagirl  

 今日、ネットで映画『フラガール』が日刊スポーツ映画賞の作品賞を、松雪泰子が主演女優賞、富士純子が助演女優賞、蒼井優が新人賞と、4冠を受賞したニュースを見た。

 泣けた!凄い!本年度のNO1!五つ星!と、べたな褒め言葉しか思いつかない程の傑作です。レンタルしていつか見ればいいやと思っている人、これは映画館でみないと絶対損しますよー。

 映画『フラガール』は昭和40年、閉山の危機に晒された東北の炭鉱町で起きた実話を映画化したもので、福島県いわき市の常磐ハワイアンセンター(現スパリゾート・ハワイアンズ)の創成期を描いた作品です。私は実家がこのハワイアンセンターのすぐそばで、母も長年働いていたものだから(踊り子さんじゃない!)この映画のヒット、各賞受賞のニュースは我がことのように嬉しいです。

Photo  私は公開初日に見に行きましたが、途中、何度も不思議な感覚に襲われました。私はハワイアンセンターと同じ昭和40年生まれなので、当時を知る由もありませんが、自分は本当はスクリーンの中の世界にいたのに、何かの拍子に違う世界に飛び出てしまい、元いた世界をじっと見せられている、そんな気分でした。できればいつまでもいつまでもこの世界を眺めていたいと思いました。『カイロの紫のバラ』状態とでも言うのでしょうか。考えるに、そのような現象を引き起こした主な要因は風景やセットのリアルさではありません。それは多分、見事に再現されていた“今ではもういそうでいない”、当時の『人間』たちです。

 ただこの映画は、過去に題材を求めながら、実は2006年現在と、また未来についての物語だと思いました。(あの夕張市の財政破綻のニュース!!)映画の中のフラガール達は一見、故郷の危機のために立ち上がったかのように見えますが、本当は新しい価値を探したんだと思います。それは映画の中の蒼井優演じる紀美子の『おらぁ、かあちゃんみてぇに生きたぐねぇ!おらの人生はおらのもんだ!』という台詞によく表れています。心地よく、愛すべき、だが滅びようとする“今”から、どんな風に未来を生み出すのか、この映画に描かれているものは正に現在の切実な状況そのものです。

 そしてあの衝撃のラストシーン!衝撃の・・というとグロテスクな殺人シーンとか巨費を投じたスペクタクルなどを想像しがちですが、どんな風に衝撃的なのかは・・どうか見て下さい。あそこはもう映画じゃありません。

 『ラストのダンスがダメだと全てが台無しになる。プレッシャーで何度も福島から逃げ出そうと思った。』と、蒼井優は言っったそうですが、短期間であれだけ踊れるようになるなんて、40年前同様、今回も相当なウルトラCです。

 私の故郷は“フラ”のダンサーによって二度救われたのかもしれません。1度目は40年前の少女たちのダンスに。2度目はこの映画の女優のダンスに。40年前、愛すべき共同体の危機の中から少女たちが見い出した希望を、現代の天才女優の強靭な意志が体現しています。次はアカデミー賞だ!

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コメント

フラガール、両親にも見せたい!と思ってます。丁度入院と重なっちゃって行けてないのですがまだ映画館でみれるかな。探してみようっと!

投稿: mimi | 2006年12月 7日 (木) 17時00分

 ご両親、どちらか入院なさっっているんですか?実は僕も実家の母の具合が悪いのです。自分自身の体調、仕事・・もあまり調子が良くないので、やはり厄年か?と思ってしまいます。これから益々寒くなるので、ご自愛下さい。今夜は熱燗ですかネ?やはり。

投稿: ナヴィ村 | 2006年12月 7日 (木) 19時52分

>私の故郷は“フラ”のダンサーによって二度救われたのかもしれません。1度目は40年前の少女たちのダンスに。2度目はこの映画の女優のダンスに。


はじめまして、吉本と申します。

偶然だと思いますが、1度目の常磐ハワイを発案した当時の中村社長が(佐賀出身)
2度目の映画の松雪泰子(佐賀出身)蒼井優(福岡出身)と2回とも九州勢に救われた事に何かの縁を感じます。

投稿: 吉本 | 2006年12月15日 (金) 02時32分

 吉本さん、コメントありがとう。いわきはハワイを作るには本当はやや寒いくらいのところです。いざと言う時には南国のスピリッツの助けが必要なのでしょう。故中村社長は地元では勿論、有名な方で、僕も子供の頃、祖父母や父母の会話の端々に良く名前が挙がっていたのを覚えています。『フラガール』映画化のニュースを田舎で初めて聞いた時は、主人公は中村社長がモデルで、それとダンサーになった少女たちとの物語といった感じの説明でした。結果は今回のような形になりましたが、あれだけ素晴らしいと、やっぱりあれで良かったのでしょう。松雪泰子、蒼井優二人とも良かったですね。吉本さんは九州の人?このブログにコメントをくれる人はいままで全部知人だったので、未知の人からコメントをいただいたのはこれが初めてです。凄く嬉しいです。内容はその日の気分で多岐にわたっていて、いつも映画ネタばかりではありませんが、これからも宜しくお願いします。

投稿: ナヴィ村 | 2006年12月15日 (金) 06時38分

今日、『フラガール』メモリアルBOXがアマゾンから届いた。
いや~あ、泣いた、泣いた。年をとったのか、この頃やたら涙腺がゆるい。
俺は室蘭生まれだけど、オヤジは15歳から夕張の炭鉱夫をやってたし、親戚も沢山いたので落盤事故があったときの町の緊張感と深い悲しみを良く覚えている。
炭鉱の風呂に良く入ったものだ。

蒼井優は「昭和の夢」を蘇らせるくらいパワーがある女優だ。順調にキャリアを重ねてほしい。いや~あ本当に素晴らしい映画だ。

投稿: jazz坊主 | 2007年3月16日 (金) 23時02分

僕も自分の故郷の、しかもガキの頃、庭のようにして遊んでいた場所で、こんな名作が誕生してしまって“どうしよう?”って思ってるくらい。泣くところは幾つかありましたが、僕にはあの駅のシーン、“その手があったか?”ってくらいの泣かせどころでした。そうか、常磐炭鉱から夕張に行った人もいるというから、つながってるな。君と僕とは炭鉱つながりなのかもな。

投稿: ナヴィ村 | 2007年3月17日 (土) 10時09分

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