ぼくらが学校に行く理由
今朝 遠くの空で
何かが轟く音が聞こえた
風でなく 鳥でなく 稲妻の音でもなく
まして
精霊へと孵化した誰かの命が
空を駆けていく時の
音でもない
数学者が知っているのは
シンプルな定理に潜む
世界の美しさ
恋人の横顔に
見蕩れた覚えのあるものなら
誰でも
数学者になれるだろう
あらゆる美しさに見蕩れ
その謎を
解き明かそうする者なら
誰でも
地球は丸い
ゆえに
君の国の夕焼けの美しさと
僕の国の朝焼けの美しさは等しい
戦火の中で
壊れた建物の隙間から
へんな形の空を覗く少女の夢は
お腹いっぱい食べることと
学校へ行くこと
そして遊ぶこと
何故なら楽しく遊びながらでなければ
人は
平和を学ぶことができない
と 知っているから
『憎しみのプラカードを書ける人の多さに比べ
愛の手紙を書ける人のなんと少ないことか』
By ティク・ナット・ハン
今朝 遠くの空で
何かが轟く音が聞こえた
政治家と
富める者が互いを蔑み
罵り合う声が響くその中
誰からも見捨てられた
世界のゴミ溜めで
新しい救世主が目覚める
この春、中学生になる息子が小学校4年生の時、学級崩壊が起きた。毎日ちゃんと学校へ行っても、授業が行われない状態なので、息子は無駄なので学校へ行きたくないと言い出した。それで私は『それなら、一人前に扱うから仕事しろ。』といって、私の仕事の現場に連れて行って、真夏の炎天下の中、働かせた。今、職場の人が撮ってくれた現場での息子の写真が残っていて、大人たちに混じり、頭にタオルを巻いて働いている彼の姿がユーモラスでなんだか愛しい。
忘れもしないその夜、テレビを点けると、フィリピンのスモーキー・マウンテンでゴミ拾いをして、病気の母親と幼い妹と弟を養う少女のドキュメンタリー番組をやっていた。日本から取材で行ったアイドルだか女優だか分からない女の子が『今一番したいことは何?』と聞くと、少女は『学校へ行きたい。』と答えた。タガログ語の少女は宝物と言って、捨てられた古雑誌のページを一杯持っていて、それで“英語の勉強”と言って、夜、それをじーっと眺めていた。
第三世界の国々や戦火に見舞われている国の子供たちに同じ質問をすると80パーセント以上が同じように答えるという。そして、将来の夢のダントツが『学校の先生』だそうだ。
うーん。この差って一体なんだろう、とその夜、私は考えた。そして、確かに思ったことは次のこの地球を真に担っていくのは彼、彼女たちであって欲しいということだ。かく言う私も、学生時代、学校のありがた味など意識したことはなく、どちらかといえば反抗し、無視していた方なので偉そうなことを言える人間ではないが。
それで、その夜、この詩を書いた。
願わくば一人の親として、子供たちにとって学校が楽しい場所であって欲しいと願う。
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