音叉ーある悲劇に
眠れ 神性に帰せ
悪の華の球根が滋味として
憎悪を吸い上げる
その傍らで
ああ
悲しみの音叉は
キーンとして心臓を刺し貫く
生涯に渡り
それを聞くことになる
運命の耳
月が歪み
麻酔の効かぬ
手術台の夜よ
祈りの詩句を知らぬ
聖職者がテーブルで
凝視する
新聞の文字
音を消したテレビの中
白蟻どもの
阿鼻叫喚
愛よ眠れ
耳を塞げ
これは神戸の連続児童殺傷事件が起きた時に書いた詩。まだ我が家の子供達が小さく、やっと人の親の気持ちが分かったつもりになった頃だったので、余計に事件に衝撃を受け、いたたまれなくなって私はこの詩を書いた。
昨日、バージニア州で起きた射殺事件は32人が犠牲になる大惨事になってしまった。この種の事件ではマイケル・ムーアの映画『ボーリング・フォー・コロンバイン』で取り上げられたコロンバイン高校での事件が有名だが、犠牲者の数だけ言えば今回のそれは史上最悪の結果となった。
これから犯人の実像については精神分析や何やらで色々明らかになることと思うが、きっと原因については本当のところは何も分からないだろうと思う。スプリングスティーンの『ネブラスカ』ではないが、理由の無い卑劣な行為というのが確かにあって、今回のような事件を目の当たりにすると、人間はただ慄然とするしかない。
日本でも長崎市市長が射殺されて、さらに暗澹たる気持ちになった。
今は犠牲者の冥福を祈るしかない。
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