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『1973年のピンボール』~大冒険の前夜

1973年のピンボール (講談社文庫) Book 1973年のピンボール (講談社文庫)

著者:村上 春樹
販売元:講談社
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 今日、雨降りの一日、約20年振りくらいにこの小説を読みました。私が始めて村上春樹の本を読んだ頃はまだ『羊をめぐる冒険』は出ていなかったので、この本が著者の最も新しい作品でした。

 実は私は彼の小説よりも先に彼が翻訳したフィッツジェラルドの短編集『マイ・ロストシティ』を先に読んでいて、村上春樹のことをてっきり翻訳家なのかと思っていました。その後、自身も小説家であることを知って、それで『風の歌を聴け』とこの本の単行本を2冊買ってきて読んだ覚えがあります。

今回、久しぶりに読んで、意外に文学的(失礼!)なのに驚きました。何しろ風三部作と言われる著者の作品の、特に初めの2作は、当時、読後とてもポップな印象が強かったので、現在に至るまでづっとその印象を引きずったままだったのです。

 村上春樹登場の頃、サザン・オールスターズもデヴューして、2者には全然共通点も接点もありませんが、個人的に“こんなに売れなきゃ良かったのに”と思う2者ではあります。サザンはどう見ても一発屋、キワモノでしたし、村上春樹の小説も日本文学の主流からすれば十分異端な存在だったのです。

 現在ではサザンは押しも押されぬ国民的バンド、桑田圭佑は海外でもヒットこそないものの“東洋のポップ・モンスター”と、名が知られていますし、村上春樹にいたっては去年賞こそ逃したものの、ノーベル文学賞最有力候補と言われるまでの作家になってしまいました。

 2者とも本当は、こっそりマニアの間のみで神格化され楽しまれる、と、まさにそんな姿が一番相応しかったような気がしますが、勿論、今更そんなこと言ったってしょうもありません。

 この本を読んだ頃はまだ高校生だったので、まだ表立って酒は飲めませんでしたが、僕と“鼠”とジェイズ・バー、とてもビールが美味そうで、憧れましたね。

 この本は後年彼の名を世に知らしめた名作『ノルウェイの森』の、違う手法で書かれた同じ物語のようにも読めます。この本でも“ノルウェイの森”が収められたビートルズのレコード『ラヴァー・ソウル』が印象的に使われていて、何か喪失感に満ちた季節に、このレコードはよっぽど合うのでしょうか?

 私も大学を卒業して、友人達が就職その他で皆、郷里に帰ってしまい、一人東京に残されたような気持ちになった時期、この小説を思い出して『ラヴァー・ソウル』ばかり聴いていたことがあります。

 この後、物語は大傑作『羊をめぐる冒険』へと突入していくのですが、私のその後も・・・・・・・・大冒険でしたよ(笑)。

 

 独断的評価★★★★

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コメント

こんにちは、お元気ですか。ほぴ村さんから伺って来ました。

投稿: greenwich village | 2007年6月11日 (月) 00時17分

 greenwich villageさん、コメントありがとう!ご覧の通り、何でもかんでも書いてるブログですが、良かったらまた遊びに来てください。

投稿: ナヴィ村 | 2007年6月11日 (月) 05時48分

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