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『第五の山』~正攻法なスピリチャル本

第五の山 (角川文庫) Book 第五の山 (角川文庫)

著者:パウロ コエーリョ
販売元:角川書店
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 私はパウロ・コエーリョの大ファンでした。~でした、と過去形で書くのは、今は好きじゃなくなったからで、最近の彼の作品は設定の妙だけで、あとは今流行の、お手軽な精神世界へのガイドブックみたいになってしまった気がします。

 私が好きだったのは『星の巡礼』、『アルケミスト』、それに今回挙げた『第五の山』で、特にこの『第五の山』は、今後、彼がどんな優れた小説を書いたとしても、私の中のパウロ・コエーリョ本のNO1であることは変わらないでしょう。

 私はクリスチャンではありませんが、たまに聖書を読むことがあります。信者ではないので、教義に触れるというより、純粋な文学的興味から読んでいる場合が多いのですが、この『第五の山』を読むのはその時の読書体験に似ています。

 これはキリスト教に題材を得ているものの、別に教えを広めようとする本じゃなくて、信者以外の人も十分感動できる内容になっています。込められたメッセージは読む人の受け取り方によって様々でしょうが、私は人が永遠に生きるといことがどういうことなのかを深く感じ取りました。

  戦火によって破壊された町を、死体を焼くことから初め、もう一度、復興させようとするイリヤ。

 戦後の焼け野原からわずか60年で奇跡の復興を遂げた日本。敗戦直後の人々も皆、この小説のイリヤのような気持ちだったんだろうな、と、読後、そんなことを考えました。また、阪神淡路大震災の被害から美しく甦った神戸の街の事も。

 パウロ・コエーリョはニューエイジ的に精神世界を語るより、真っ向からキリスト教を題材にしてこういう正攻法な小説を書いていた方が良かったと、今回再読して改めて強く思いました。

 『アルケミスト』しか読んだ事の無い方、それ以上の感動を保障しますヨ。

 で、今回から始める独断的評価は: ★★★★★

 

 

  

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