残波光
土に還ったあなたの命は
夏の鮮やかな果実と亜熱帯の花々となって
無限に
回帰することを
旅人に告げる
一粒の雨が
歴史の悲しい涙だとして
島を癒すスコールの響きに
甘くまどろむ
マンゴウの午後
首里から摩文仁の丘を経て
喜屋武岬へ
砂の上で
戦(いくさ)は風葬に処されたゆえ
今は骨だけを晒し
サトウキビの葉が
泣き喚く女の髪に化身して
南風(はえ)に暴れる
エメラルドの
水平線からこぼれゆく
舟(サバニ)を追って
太陽は異国を目指し
夜
ひらくたおやかなアジアの乳房に
耳をあてると
光る波間から
微かに聞こえてくる
三線と
島歌。
沖縄には一度しか行ったことがないが、きっと何回行っても旅行者以上の感想や感慨は持ち得ないだろうと思うので、何に対しても知った風なことを言うのは止める。
上の詩はその一度だけの旅行の際、書いた詩。丁度、本土では終戦記念日の8月15日に小泉首相が靖国に参拝しただの何だのと言って騒ぎになっていたが、沖縄は6月23日に沖縄戦が終結した日にこそ意味があるので、とても静かであった。
沖縄では何を食べても美味かった。そして酒も。この詩の題はその時沖縄で飲んだ焼酎の名前から取られている。
人生の何処かの数年間、沖縄で暮らせたらなどと夢のように考えている今日この頃。
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