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天動説


昇る朝日を見て
回る地球を
感じたことなんてない

頭上にあった太陽が
岬に沈むのを眺めていた少年の頃より
僕にとって
動いているのは
いつも
空の方だ

だから
拝啓ガリレオ・ガリレイ
僕は
あなたの地動説は
取らない
僕は
天動説を信じる

ルネ・マグリットの絵みたいな
台風一過の夜の青空を
凄い速さで雲が流れていた
「星が飛んでいる」、と
娘が言ったが
「それは錯覚だよ」、と
僕は言わなかった

確かに
二つの星が
運命のように
しばし併走していた

客観的 科学的 事実よりも
主観的で詩的な現実

昔々、人は世界はパンケーキのような
平たいものを
二匹の象が支えていると
信じていた

毎日、山から現れて
海へと沈んでいく太陽は
きっと誰かが飽きもせず
打ち上げる
花火みたいなもの

たとえ
そう信じたまま
明日、僕が死んでも
誰も困らないし僕も困らない
21世紀を人が
古代的メンタリティで生きたとて誰も

今朝 またもや誰かが
巨大な火の玉を打ち上げて 
海の魚達がきらきらと光った 

だから
夏休みの少年よ
あまり遠くまで泳いでいくと
世界の淵に
落っこちてしまうかも
しれないぜ

結論
世界は
パンケーキのような平たいものを
二匹の象が
支えている

これでいいのだ

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