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『ゾウのはな子』を見て~象主義

 

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 前回エントリーした詩にゾウが出てきたからというわけじゃないですが、自分的にはとてもタイムリーに昨夜、“千の風になってドラマスペシャル『ゾウのはな子』”を見ました。戦争中の1943年、上野動物園のゾウをはじめとする猛獣類が都の命令で殺処分された話です。この話は童話や絵本になり、また教科書でも取り上げられているので広く知られていることと思いますが、私自身は子供の頃愛読していた、少年ジャンプ連載の『ぼくの動物園日記』という漫画を通して知っていました。

 少年時代の記憶を掘り起こしてみても、この話の悲しさは強烈で、たとえゾウと言えども、愛する対象がひもじさや飢えを目の前で訴えているのを、黙って見殺しにするしかなかった当時の飼育係達の苦悩たるやいかばかりであったか、今でも考えるだけで胸が締め付けられるような気がします。

 だから、昨日のドラマは全く見るつもりはありませんでした。私は日頃、そういった歴史の悲しい出来事はどんな形にしろ一度胸に刻んでおけば、後は繰り返し見なくてもいい、と勝手に思っています。つまり、避けているのですが、昨夜、子供達が見始めたのにちょっと付き合うつもりが、ついつい最後まで見てしまったのはひとえにこのドラマに出ているゾウたちの演技に圧倒されたからです。

 このドラマの撮影の大半はタイで行われれたと言います。タイではゾウが山に住み人間と自然に共存していると聞きますが、ゾウに芸をさせたりするのも盛んらしいので、当地ではゾウの方も人間に対する感覚が違うのでしょう。

 物語中、最も涙を誘うゾウ達がひもじさの余り芸をして、それで餌を貰おうとするシーンは、ゾウくんたちの涙、表情、叫び声も含め迫真の演技で、昔、漫画で読んで知っていた悲しみが比べ物にならない程、胸に迫るものがありました。自分の人生の中で、こんな経験だけはしたくない、また誰かにさせたくないと、心底思いました。それはまさに戦争に対する思いと同じです。

 ドラマは前半が戦時中の殺処分された“花子”を含むゾウ達と飼育係たちの話で、後半は、戦後もう一度動物園にゾウを!との声の高まりから、タイから送られてきた2代目“はな子”の物語になります。

 この後半の話は私は全然知りませんでした。戦時中、殺処分を体験した飼育係たちの、送られてきた子ゾウに託した思いやその後に起きた事件など、そしてそれが現在とどう繋がっているのか、いちいち“へーえ”っと、机を叩かずにおれませんでした。

 この“2代目はな子”を演じた子ゾウくんもなかなか名演でしたね。送られてきた夜、寂しさのあまり反町隆演じる飼育係を宿直室まで起こしにいくシーン、また反町と一緒に自分の小屋まで競歩のようにして歩いて戻るシーンは、こんな風に日本でもゾウを散歩させる人が巷に一杯いたら面白いだろなと想像させられました。

 物語は最後に『動物園は、平和な国にしかありません。』というテロップとともに終わります。確かに戦争や内乱の最中だったら動物どころじゃなくなって、そして真っ先に“処分”されるのも、今だってきっと動物達ということになるでしょう。

 ゾウは群れで行動し、戦うという発想のない文字通り平和な生き物だと聞きます。群れのボスというと、強く統率力のあるオスをイメージしてしまいますが、本当のゾウの群れは知恵のあるおばあちゃんを中心とした母系社会のような集団をつくっているそうです。

 私は現在、体調の不調から在宅を余儀なくされていますが、妻は仕事に出かけますし、そうすると家事全般をいろいろ言いつけられたり、また引き受けたりして過ごすことになります。が、まあなんと、これがあんまり嫌じゃありません。我が家は女性陣の方が社交的で活発で、ほとんど家にはいなく、今までも主に私と息子とで掃除、洗濯、お買い物、料理をこなす休日を送ってきましたから、息子と二人お洗濯物をたたみながら『お母さん達は今日、何時ごろかえってくるかしらん?』などと話しているのもなんだか幸せを感じます。

 昨日のドラマの後半、タイから送られてきた2代目“はな子”が、いつも井の頭公園にいるあの“はな子”だと知って驚きました。

 なあんだ、僕達、とっくに会っていたのか。そうか、その昔、お前には色々なことがあったんだな、でも、いい人達に守られてお前はしあわせだったな・・・なんて、これからの夏休みの間、井の頭の動物園に行ってはな子にそんな風に語りかけて見るのもいい休日かなと思います。

 平和について考える機会の多い8月、皆さんもどうか“象主義”で。  

 

 

 

 

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コメント

そういえば井の頭公園の「はな子」はダンスが上手でしたね。
あのダンスの裏にこんなドラマがあったなんて驚きです。

『ぼくの動物園日記』。私も大好きでした。ジャンプには同じく社会派物の『はだしのゲン』もありましたね。
そうかと思えば『トイレット博士』や『ハレンチ学園』があったり・・・。
今考えるとすごいラインナップですね。

投稿: JUICE&LOVE | 2007年8月 6日 (月) 13時25分

 この“千の風になって”ドラマシリーズの第三弾は『裸足のゲン』です。つまり『少年ジャンプ』ネタですな。どうせなら『侍イジャイアンツ』もやってくれたら良いのに。番場蛮はたしか最終回、分身魔球の投げすぎでマウンドで死ぬ。そして、後年、土佐に戻って後輩の指導にあたっているキャッチャーだった八幡太郎平が蛮を思い出す所で最終回となる。その時、“千の風になって”が流れれば・・・・いい感じじゃない(涙)。・・・じゃなくて(爆笑)。

投稿: ナヴィ村 | 2007年8月 6日 (月) 22時05分

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