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ロックの巨神兵

Bruce_springsteenmagicfrontal_2  『ばばさまぁーー!!』子供達は恐怖のあまり、方々から全速力で駆け寄ってきました。紅色の地平の彼方から生ぬるい風が吹き、見ると、どろどろの気味悪い皮膚を滴らせた巨大な生き物がゆっくりと立ち上がるのが見えます。

 『おおおおおおおおお!!!!!なんたることじゃ!。』ばばさまはその老木を思わせる痩せた両の掌をしっかりと組み合わせると、ほんの数秒間目を閉じましたが、周りにいる子供達にとって、それは何時間にも感じられました。

 『その昔、“火の七日間”(ボーン・イン・ザ・USAツアー)というのがあって、人々の魂という魂が、ことごとく焼き尽くされてしまったことは、みなもととさまやかかさまから聞いて知っておろう?あの神聖かつ崇高なエネルギーに触れたら最後、弱い生き物である人間は、もうそれなしじゃおれんようになって、と言うより、それ、つまりあの者が奏でる音楽を聞いていない時間に耐えられんようになって、日常を送るのが困難になってしまうのじゃ。それで人類は未来永劫、あの危険なエネルギーを地底深く眠らせ、二度と手をつけないと誓ったのじゃが・・・・・・。』ばばさまはため息をつきながらゆっくりと首を振りました。

 どろどろとした巨大な生き物は徐々に輪郭を顕にし、見ると皮ジャンの上に袖の取れたジージャンを着て、額にはバンダナを巻いています。肩からテレキャスターを下げ、恐ろしい形相で右の拳を高々と空に突き上げました。

 『ばばさまーーーー!!』『ユパさまーーー!!』『わーーー!!』そこいら中で、子供達の泣き叫ぶ声が聞こえています。

 そんな混乱の最中にあって、ばばさまはさらに不穏な空気を感じていました。それは怒りに我を忘れたオームの大群が、まるで大地そのものを攻め滅ぼすかのような勢いでこちらに進軍してくる地響きでした。オームの一匹一匹を良く見るとそれはEストリート・バンドのメンバーの顔をしています。オーム達は神聖なエネルギーであるロックン・ロールをただの下らない雑音に変えてしまった昨今の風潮と、自らが崇める者を“金太郎”呼ばわりした某ブロガーに対し怒り心頭に達し (詳しくは音楽コラム『Band wagon music』の“ロックン・ローラー金太郎”を見てくださいまし!!)、もう制御することなど不可能なように思えました。オーム達のツアーはすでに海の向こうのアメリカ大陸を焼き尽くし、太平洋の水を沸騰させなが、水煙を上げて徐々にこちらに近づいてきます。

 『ばばさま、この後、私達はどうなるの?』泣きはらした目で子供の一人が聞きました。良く見ると少女は『アイアム・サム』に出ていた頃のジェシカ・ファニングちゃんに似ています。

 『すべては神様のお望みに従うのみじゃて。何もかもこれから起こることに身をまかせるしかないのじゃ、聞こえてくるビートに身をまかせるしか・・・・・・。』

 その時、ややデストーションのかかったギターのカッティングの後、ズドン!という爆撃のような音がしたかと思うと、疾走感溢れる凄まじいロックンロールがついに始まりました。  

      

      欲しいのは千のギター

      欲しいのは轟くドラム

      欲しいのは熱狂する百万の声

      こちらレディオ・ノーウェアー

      そっちに誰か生きている奴はいるかい?

   

 『レディオ・ノーウェアー』by ブルース・スプリングスティーン

 閃光の様な音楽はばばさまの枯れ草の血管をゆるゆると流れていた血液をドライブさせ、その血小板をクラレンス・クレモンズのサックスに、ヘモグロビンをスティーブ・バンザントとニルス・ロフグレンのギターに、白血球をロイ・ビタンのピアノに、赤血球をゲイリー・タレントのベースに、そして心臓をマックス・ウェインバーグのドラムスすると、複雑なサーキットを突っ走るF1マシンの如く体内をぐるぐる駆け巡らせました。またその白髪はパティ・スキャルファーの金髪に変って、まるで死にかけた植物が生気を取り戻すように、ばばさまは美しい少女へみるみると変貌を遂げました。

らんらんらんらららんらんらん、らんらんらんらららん、 らんらんらんらららんらんらん、らららららんらんらん・・・・・・・・・(久石譲の娘の例の唄)

『ひ、ひ、姫姉さま!!!!!』。子供達が一斉に叫びます。

 そしてさっきまでばばさまだった少女は、まだばばさまだった時の口調で最後にこう言いました。

 

 『おお、なんという大いなるロックンロールじゃ。』

                      『風の谷のハウルの動く城』

          

                        完ー

『今夜 僕はロックンロールの未来を見た。その名はブルース・スプリングスティーン!』

                        1975 ジョン・ランドウ

 『今夜 僕はロックの巨神兵を見た。その名はブルース・スプリングスティーン!』

                         2007 ナヴィ村

 

 なーーーんちゃって。ついに目覚めてしまったな。怒涛ののロックンロール。

 日本に来るかな?来たら全部行くぞー!  

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