NO MORE NOMO
「中学生の時、僕にメジャーリーグという明確な目標を与えてくれた。その時から同じフィールドに立つ事を目標としてきた。」 松坂大輔ーボストン・レッドソックス
「今日、メジャーリーグで日本の選手が活躍できているのは、野茂さんの大きな力によるものだと思う。違った形でのこれからのご活躍をお祈りします。」
松井秀喜ーニューヨーク・ヤンキース
「今ほど環境が整っていない中で長年プレーしたのは凄い。野茂さんが米国での日本選手の評価を上げた。野茂さんの着ていたユニホームでプレーしていることを誇りに思う。」
黒田博樹ーロサンジェルス・ドジャース
「野茂さんがやってこられたことは、今さら僕が言うことではないので・・・・。僕の気持ちとしては“ありがとうございました”ということ」イチロー シアトル・マリナーズ
「息子のようだった。引退表明は本当に辛かったと思う。<中略>野球を愛し、馬車馬のように投げてくれて誇りに思う。最初は異文化に戸惑ったが、彼は目標を成し遂げた。<中略>彼がいなかったら、米国の球団は日本選手の獲得をためらったはず。」 トミー・ラソーダ元ドジャース監督
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ついにこの時がきてしまった。野茂英雄引退。その名の通り私にとって文字通り“英雄(ヒーロー)”だった野茂。彼が大活躍していた頃など、つい最近だと思っていたが確かに時は流れていた。一時期、彼の活躍を糧として生きている時が自分には本当にあって、その当時を思い出して昨日は少々ノスタルジックになってしまった。
ただ一つ残念なのは引退表明の中で彼が「悔いが残っている」と語っていたこと。同じく先ごろ引退した桑田は「悔いは無い」と言っていて、この違いが今後の二人の人生をどう分けるのかが興味深い。大昔、金田と稲尾、二人の大投手もその引退の仕方でその後が大きく変ってしまったと言うから。
95年13勝6敗で新人王獲得。96年日本人投手として初めてノーヒット・ノーランを達成。01年に2度目を達成。日米通算201勝155敗。数字だけでも十分すぎる結果だが、彼の場合、数字に乗らない部分の方が凄かった。
映画『フィールド・オブ・ドリームス』の原作『シューレス・ジョー』の作家W・Pキンセラの短編『“イチローと野茂”アイオワにきたる』のラスト・シーン
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「日本にこんないい選手がいるなんて知らなかったな」ジャッキー・ロビンソンが、イチローと野茂と握手を交わした。
「これからもここに定期的にきてくれますか」僕は聞いてみた。
「もし誰かが ぼくらにここに来て欲しいと強く夢見たならー。」とイチローが答えた。
柔らかい陽射しの中、スタンドに座るアニーとカレンを僕は指差した。イチローが手を振ると彼女達も手を振った。イチローはアニーとカレンにグランドに降りてくるように手招きした。そしてアニーのTシャツとカレンのグローブにサインをした。シューレスジョーがその傍らに立って言った。
「多分、イチローと野茂がここにくるのは今日だけだろうね」
「そうですね、彼らはこれからもメジャーのグラウンドでプレーして、記録に挑戦していくんですから」 僕はシューレスジョーの言葉にそう加えた。
選手達は野球用具を集めてとうもろこし畑の方に歩き始めた。僕はジーンズのポケットに両手を突っ込み、彼らがとうもろこし畑に一人、二人と消えていくのを見守った。
僕はまだ、今日おきたことが良くわからないんだ」アニーとカレンに言うと、アニーが僕の腰に手を回して、ニッコリ笑って言った。
「夢を見るのはあなただけじゃないわ」
W・Pキンセラ作 井口優子訳
日本人だけじゃなく米国の人々にも強烈な印象を残した野茂。17日ロサンジェルス・タイムス(電子版)にはこうある。
NO MORE NOMO (野茂はもう見られない)
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