晩夏 1991
砕かれた光が散らばり
地球の夏はいつも
瞳に焼きつく緑と はじける水の音
遠く
失われた過去から
言い伝えられた秘密を
口ごもりながら未来へと
吹いていく風
ここは二十世紀の草原
宇宙飛行士の胸の鼓動は
インディアンのドラム
ここは
二十世紀の浜辺
墜落したUFOの残骸を
原始人のぼくと
猿が見てる
猿が見てる
夕暮れの空の片隅で
三日月はYogaのかたち
ゆっくりと舞踏家みたいに
背筋を伸ばす川
夏の終わりはいつも
手つかずの宿題と
遊びつかれた少女の耳に
子守うた
のように
鳴く ひぐらし
昔、書いた詩が出てきた。これを書いた頃は吉祥寺に住んでいて、何の展望もなく一日一日を生きていた。気楽さと不安が入り混じった変な感じだったが、僕は世紀末をこんな風に感じていたのだろうか。インディアン文化にイカレていた時代。現像できない写真を何枚も撮った時代。
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