« 日常の言葉・詩の言葉 | トップページ | 問い »

映画『ブーリン家の姉妹』

3

 ナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンセン。良くある宣伝文句風に言えば「現代を代表する2大女優、夢の競演!」というところか。本日25日から公開の『ブーリン家の姉妹(The other Boleyn Girl)』、早速見てきた。

 今、本棚の、大学時代使っていた美術史の教科書をパラパラめくると、本の真ん中辺りにカラー図版でハンス・ホルバイン作『ヘンリー8世の肖像』という絵がある。それを見る限りこのヘンリー8世、髭をたくわえ、やや小太りの人の良さそうなおじさんに見える。が、実際の彼は生涯に6人もの妃を娶り、しかもその内二人を断頭台送りにしたという、好色かつ残忍な面を持ち合わせたなかなか大変な人物だったようだ。

 そして映画は、一族の繁栄のためこのヘンリー8世の寵愛を受けるべく使命を授かった二人の姉妹の運命を描いたもの。

2  日本の時代劇でもそうだが、権力者の世継ぎを生むというのは、当の女性にとってはもうお家の存亡を賭けた一大事だったのだろう。そして正室に世継ぎが生まれれば良いが、そうじゃなかった場合の周囲の魑魅魍魎とした策略権謀も古今東西同じのようだ。

 時は16世紀、チェーダー朝の時代、このブーリン家の人々も一族のためにと、二人いる娘の内、美貌で機知に富む姉のアン(ナタリー・ポートマン)を王に差し向けることにする。

 アンも初めこそためらったものの、持ち前の野心と実行力で少しずつ王の注意を惹き始める。しかし、ある事故が起き、それをキッカケとして王が見初めたのは意外にもすでに既婚者である純朴な妹のマーガレット(スカーレット・ヨハンセン)の方。一族の者達も「じゃ、マーガレットでもいいや」と一転、それまで性格は違えど仲が良かった姉妹に初めて確執が芽生える・・・。

              ☆  

Photo_2   この原作はベストセラーになったということだが、ネットで色々見ると本の方は上下巻に分かれており重厚な人間ドラマが緻密に描かれているものと想像する。で、映画だが、それを2時間弱の映画にしたからなのか、少々ジェットコースタームービー的なところがあって、私はその辺にやや難を感じた。アンが国外追放になったと思ったら、すぐ戻ってくるし(笑)、それぞれの妊娠→出産or流産も、もう少し時間の経過を感じさせる演出が欲しかった気がする。アンとマーガレットの感情の変化がスピーディー過ぎて、表面的に流れてしまっているところがあって惜しい気がした。

 ストーリーについてはネタばれになるのであまり詳しくは書かないが、地味なところで一つだけ私が好きなシーンを挙げると、それは姉妹が田舎から宮中に召し上げられ、王妃の前に初めて立たされたところ。

 王妃は自分が世継ぎを生めないでいるところにこの美しい姉妹が来たわけだから、王の目的は勿論分かっていて、色々と皮肉を言った挙句、若さと美しさ以外にもきっと魅力があるのだろうから何かヤレ、歌え、と意地悪を言う。その時、散々困った後、妹のマーガレットが歌うのだが・・・さして上手くはないけど純朴で素直な歌で、他の侍女たちの忍び笑いが聞こえそうな中、王妃一人がその存在を認めたような拍手・・・良いシーンだった。

 この映画のキャストを見て驚いた点が2つ。それは第一の王妃キャサリン・オブ・アラゴンを演じているのがあのアナ・トレント!だということ。私が知っている彼女は『ミツバチのささやき』や『カラスの飼育』など、ビクトル・エリセやカルロス・サウラなどスペインの名匠たちの映画に出ていた子役時代のみだったので、パンフレットを見て驚いた。

 で、もう一人がヘンリー役のエリック・バナ。「どっかで見たことあるなあ?」と思っていて、これもパンフレットを見て、あのスピルバーグの問題作『ミュンヘン』の主人公をやっていた役者と知ってどおりでと思った。何故なら『ミュンヘン』、先月、ビデオ借りてきて見たばかりだったから。

             ☆

 私は高校の頃、日本史だったので、世界史はちゃんと勉強したことが無い。このナタリー・ポートマン演じるアン王妃って歴史上とても有名な人のようだが、恥ずかしながら私は知らなかった。で、どう有名なのかを書いてしまうとまたまたネタばれエリアに踏み入ってしまうので止めるが、一つだけこの映画を見てあのケイト・ブランシェット主演の『エリザベス』を見たくなった・・・とだけ言っておこう・・・って、皆 知ってるか。

|

« 日常の言葉・詩の言葉 | トップページ | 問い »

映画(70)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/186188/24738226

この記事へのトラックバック一覧です: 映画『ブーリン家の姉妹』:

» ブーリン家の姉妹 [猫の毛玉 映画館]
『ブーリン家の姉妹』 The Other Boleyn Girl 2008年・イギリス/アメリカ イングランドの女王エリザベス一世を産んだ王妃アン・ブーリンとその妹メ... [続きを読む]

受信: 2008年11月 4日 (火) 22時55分

« 日常の言葉・詩の言葉 | トップページ | 問い »