2度目の歌舞伎ー船弁慶(ふなべんけい)
最近、外タレのコンサート・チケットって異様に高くないだろうか?ザ・フー、ビリー・ジョエル、ジャクソン・ブラウン、キャロル・キング・・・この秋は私が好きなアーチスト達が大挙来日していた(る)のだが、結局、どれも行かなかった。仕事のスケジュールと合わないのが一番の理由だが、プラス、チケットの高さもその要因の一つに挙げられる。
あんまり言うと貧乏人の愚痴のようで嫌なのだが、でも、こんな高額な金を出してロックのコンサートを見てるのって日本人だけじゃないのか?他の国がどのくらいなのか調べたことはないが・・・・・・・・。
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私は本日も昔ながらの庶民の娯楽、歌舞伎見物に行ってきた。久々に「あと、ヨロシク。」と5時30分に戸締りもバイトの面接も人任せにして事務所を出、5時50分にはもう歌舞伎座の前へ。幕見席のチケット売り場は行列が出来ていて、そして予想以上に外国人客が多くいた。三幕目はどうしようか散々まよったが、少々風邪気味で、余り帰宅が遅くなるのも嫌なので本日は二幕目のみにした。金800円なり。
今日見たのは夜の部二幕目『船弁慶』。海路で西国を目指す義経に弁慶が静御前を都に返すように進言し、義経はこれを受け入れる。義経と静御前の別れの場面。別れを惜しむ舞いの後、出船となるが、海は荒れて、やがて平知盛の霊が現れて義経らに襲い掛かる。
私は歌舞伎は見始めたばかりなので、その芸についてウンチクを語るほどの知識も批評眼も持ち合わせていないが、この『船弁慶』、前回見た『盟三五大切』が大作の演劇とすると、これは和のミュージカルと言った印象を持った。この静御前と平知盛を今日演じたのは菊五郎だ。
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歌舞伎への招待 (岩波現代文庫)
著者:戸板 康二 |
今私が読んでいる戸板康二著『歌舞伎への招待』によると、昭和24年7月に世を去った6代目尾上菊五郎はとんでもない名優だったそうで(歌舞伎の世界で、一言、六代目、と言うとこの菊五郎のことを指す)今日のこの菊五郎は何代目なのだろうか?私、そんなことも知らない。また芸の方はどうなのだろう?。(今、調べたら今日の菊五郎は7代目、しかも現在の歌舞伎界のスーパースター、人間国宝であった。あわあわあわ・・・(恥))
前回の経験から、今回、私は音声サービスの機械は借りなかった。これも人それぞれだと思うが、私は場面場面を解説され“理解”するより、舞台全体の流れと情感そのものを“感じる”ほうが楽しめるような気がする。かつてお忍びで来日していたジョン・レノンも歌舞伎を見て、なんの予備知識も無い演目だったのに涙を流して見ていたと言うから、そういう鑑賞の仕方も可能なのだと思って。
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誰か外タレのコンサートを歌舞伎化してくれないだろうか。昼の一幕目『ザ・フー「四重人格」の場』、二幕目『ジャクソン・ブラウン「レイト・フォー・ザ・スカイ」の場」』、夜の一幕目『ビリー・ジョエル「ピアノマン~ニューヨーク52番街」の場』、二幕目『キャロル・キング「つづれおり」の場』、みたいな。それでチケット代は一幕8~900円程度で1ヶ月公演。無理か、そんなもん。
またロック界に世襲制度も導入する。もうジュリアン・レノンをジョン・レノンということにしないか。ザック・スターキーはリンゴ・スター、ダニー・ハリソンはジョージ・ハリソンということに。またジェイコブ・ディランをボブ・ディランということにする。で、その調子で行くと、5代目ミック・ジャガーと5代目スティービン・タイラーあたりになるとその違いなど分からなくなって、それを分かる人が“通”ってことになる。
永遠にこの地球上に現役のビートルズやディランやローリング・ストーンズがいる。「レノン屋!」とか「キース屋!」なんて声が掛かったりする。キースがテレキャスで客をぶん殴ったりすると、「先代にも優るとも劣らない・・・・」とか言って目を細める。ミックが見得を切ると、「あーりゃー、こりゃー」とバックのメンバーが言って、最後に「デッケイ!」と声を掛ける。荒唐無稽な話に聞こえるが、歌舞伎の世界は実際にそれをやっている。200年もかけて。だから今日見た菊五郎はそういう意味じゃ江戸の世からずっとこの世にいる。肉体はどんどん変っているけど、芸こそがDNAみたいなものでずっと生きている。
誰が考え出したのだろう、凄い制度だ。
最近、すっかり歌舞伎にはまってしまって、その関係の本ばかり読んでいるが、これが非常に楽しい。この年になって全く知らなかった世界を知るというのは・・・・・・スリリングなものだ。で、上の話、ポール・マッカートニーはどうしたって?ポールはずっと本人のまま。200年くらいたっても、ポールはポール。『グリーン・マイル』の主人公と鼠みたいに。
PS それにしても見たくないか?キャロル・キング、曼荼羅で20回公演とか(笑い)。無理か。ニルソンとかレオン・ラッセルなら可能と思うけど、その場合、完全にドサ回りって感じになるなあ。わたしゃ行くけどね。
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