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欲望~ある抽象画のための


文字の無い手紙のような
灰色の空に向かって
巻き上がる ワイン・レッドの

時の推移によって
光の加減は
微妙に変化するから
見るたびに違う表情を投げかける


この絵は本当は
私の心を
標本し 額装しただけのもの

それは例えば
この世の
快楽のキャンバスをあらゆる器官で
隅々まで
舐め尽くしてみたいなどと
考えたりしている
午後の

やめられない毒のように
全身に効いてくる

無機質な画廊の壁に
“しん”と飾られている
私の激しい

欲望

 

 これは昔、ある友人が描いた絵を見て書いたもの。あっという間にできたのを覚えています。

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