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4度目の歌舞伎~春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)

 20090103142659 あけましておめでとうございます。このブログを始めて三度目の正月。しかし、去年の二月、私は母を亡くしたので、厳密には今年正月は無いことになっている。だが年が明けた瞬間、「あけましておめでとう!」と言わなかった事と初詣に行かなかったこと以外は例年通りの過ごし方で、それはつまり実家で酒&刺身&その他の馳走、ということ。

もう一つ違ったことと言えば、例年だと仕事納め後すぐに実家に戻って、仕事始め前日に東京に戻るといったパターンだったのに対し、今年は大晦日と正月の2日間だけ田舎にいてあとは東京にいたということ。息子の部活やら私の仕事の事情でそうなったのだが、いつも見れない年末年始の東京の様子が見れたことがかえって新鮮で、今後、子供の事情が色々と増えるにつれ、こうした状況が定番化していくのだろうなと思う。

 さて、そんな年末、東京にいる間どう過ごしていたかというと基本的にはなるべく体を動かし、それ以外はビデオに録りためた歌舞伎を見ていた。以下、この年末ビデオで見た演目。

 

1 『心中天網島~河庄(しんじゅうてんのあみしま~かわしょう)』 坂田藤十郎ほか  

2 『八陣守護城(はちじんしゅごのほんじょう』 片岡我富ほか

3 『藤娘』 坂田藤十郎

4 『梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)』中村吉右衛門ほか

 

その他、過去にNHKアーカイブでやった『第十二代市川團十郎襲名』と、一昨年、團十郎と海老蔵がパリ・オペラ座でやった『勧進帳』の様子を取材した番組『パリの弁慶』、松本幸四郎の『勧進帳』千回の番組など、全く歌舞伎三昧の年末だった。

昨日も東京に舞い戻りテレビをつけると早速、NHKで歌舞伎の特集番組をやっていて、過去の名優たちの名演とともに去年私が見た菊五郎の『船弁慶』などが放送されていて、またまた見入ってしまった。

                ☆ 

 さて、ここまでくるともうとことんと行ったれ!と言う感じで、本日も歌舞伎座に行ってきた。新橋に向かう途中の日比谷通りは箱根駅伝のため交通規制がされていたがそれも珍しい経験で、車のラジオを聴きながら何人ものランナーを見送った。で、歌舞伎、見たのは夜の部。『壽曽我対面(ことぶきそがのたいめん』と『春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)』。

『壽曽我対面』は曽我五郎に中村吉右衛門、曽我十郎に尾上菊五郎、工藤祐経に松本幸四郎、近江小藤太に市川染五郎と豪華キャスト。ただ初日だからか、なんだかまだ全体に固い印象だった。また、そういう演目だからしょうがないが、私自身、どこに注目すべきか良く分からなくて、乗り切れ無いうちに終了してしまった。良く勉強していつかもう一度見たいと思う。

 次の『春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)』は勘三郎。私の初勘三郎体験だ。勘三郎はステージに出てきた瞬間、幕見席にまで届くほどの大きなオーラを感じた。誰もを招きいれ、寛(くつろ)がせ、魅了する強いオーラ。前半は鏡開きのために呼ばれた小姓弥生の、恥じらいつつの女形舞踊だが、初々しさを感じさせるとともにダイナミックな踊りだった。もっと繊細に踊る人もいるんだろうな、と考えればきっと雑味もあるのだろうが、それをも含めて完成とした、大きな歌舞伎だと思った。

ただ一つ気になったのは胡蝶の精を演じた千之助と玉太郎。子役なので可愛いが、その左右対称を意識した二人の踊りが、舞台上の位置が少しずれていてシンメトリーになっていなかった。そんなこと気にするのは私だけか?丁度、中心に位置するところで見ていたので余計気になった。

                  ☆

去年の11月から突如始まった私の歌舞伎熱。まだ全然若葉マーク付きだが、この短期間で気づいたことの一つに自分が意外にも“舞踊”好きだということ。前回見た三津五郎の『娘道成寺』、テレビで見た藤十郎の『藤娘』、そして今日の勘三郎の『鏡獅子』。演者によっていかほど違うのか、今後とも楽しみである。・・・・と、ここまで書いてこの1月の『歌舞伎座さよなら公演~壽初春大歌舞伎』の昼の部の最後の演目が玉三郎の『鷺娘(さぎむすめ)』なのにチラシを見て今、気が付いた。

玉三郎か・・・・・。 皆さん、今年も宜しく。

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