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WBC決勝 日本VS韓国

 死闘。WBC決勝。五度目の韓国戦。結果は延長10回5-3で日本勝利。大会2連覇。

 あの場面でちゃんと彼のところに出番が回ってくることがまず凄いと思った。そして、ちゃんと結果を出すところも。まるで9回裏に韓国に追いつかれたのは、その後の10回表のあの場面で彼に打たせるために天が配剤したかのようだった。

 彼とはもちろんイチロー。今回、図らずも私たちは苦悩しもがくイチローを目撃したが、実は本当は彼はいつだってそういう風に野球をしている人だ。

 アメリカに初めて渡った時 「自分にはこのバットで表現したいことがある。」と言って周囲の記者達を驚かせた彼だが、ならば彼がそのプレーの一つ一つで表現しようとしていることは何か。それは見る人それぞれによって受け止め方は違うと思うが、唯一つ言えることはいつもが胸のすくような一話完結のドラマだとしたら、今回のそれは長い長い大河ドラマだったということ。本当に長かった。そして、結末はあまりにも劇的だった。

「負けた事実、腹立ちますよね。僕にとっては日本での最後の試合なので…。プレッシャーがかかっていたのは向こう(韓国)のほうだから」 3月10日のイチローのインタヴュー

「第3打席のバントの失敗でほぼ折れかけていた心がさらに折れた。ほぼ折れかけていた心をギリギリでつなぎ止めた。きょうの結果は天国行きか地獄行きかを決める試合。天国に行けて良かった。流れをくい止めていたのは完全に僕だった。本当に支えてくれて、ありがとうと思った。チームメートがつないでくれるというのはすてき」 3月19日のイチローのインタヴュー

「やあ、もう苦しいところから始まって、苦しいがつらいになって、心が痛んで、最終的に笑顔になった。日本のファンの人たちに笑顔が届けられて最高です」。3月24日のイチローのインタヴュー

                 ☆ 

 今日の試合は大袈裟じゃなく球史に残る一戦だったと思う。アメリカの新聞は“もう野球はアメリカのお家芸じゃないのかもしれない”と、日本戦に敗退後、そう報じたと言うが、確かにアジア野球のレベルの高さを世界に見せつける形になった。

 そして、5度も同じ相手に当たるってことでトーナメントの仕組みに問題有りと言われた本大会だが、個人的にはこの韓国とは一度とことんやった方が良いと思っていたので、面白かった。パーソナルな喧嘩を世界のひのき舞台でやっている、なんかそんな感じだった。

で、第2回WBCは韓国戦のこと・・・とずっと思っていたが、終わってみたら実は“人間イチロー劇場”だったと言う印象。そしてこのドラマ、第1回の時よりずっと“濃かった”。

ああ、今日は疲れた。仕事じゃなく(笑)。でも良かったね、イチロー、おめでとう。

PS ただ、次回からは“侍ジャパン”っての、やめてくれ。

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