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時は海

  時は海だが岸辺までだ~ボブ・ディラン 「Oh sister」より

     時は茫洋とした広がりの海
     そのすべてを手に入れたいと思うほど
     女は
     我儘ではない

     海を切り取る窓
     その打ち返す波の音に
     いつまでも耳を澄ませていると
     いつしか身体は
     足元のほうから透明になり
     魂だけが
     愛した男たちの背中のような砂丘に
     足跡を
     一歩ずつ残していく

     海は
     時間の別の名前

     時は
     ワイングラスの中で揺らめく水

     時は
     水平に広がる巨大な球体

     透明な魂にとって
     時は海

     月明かりが散らばる夜の海を
     魚たちが泳いでいる

     透明な
     あなたが泳いでいる

     折々の思いの色をした
     その魂の
     一匹一匹が

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