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『無敵』~日本一の夫婦 

Photo  「オスカー・デ・ラ・ホーヤには若い女性ファンが何人いるか知らないが、あれだけ多くの青少年を夢中にさせるという点では、辰吉が世界一だと確信している。」~レフリー リチャード・スチール

 昨夜、テレビで久々に辰吉を見た。辰吉は現在、プロ・ボクサーとしてのライセンスは失効しており、JBC(日本ボクシング・コミッショナー)からは引退を勧告されていて、事実上、もう日本のプロのリングに立つことはできない立場にある。しかし、未だ現役であることを公言してはばからない彼は、日本でダメなら海外でと、この春、タイで復帰戦を果たした。結果は初戦はKO勝ち、2戦目は7ラウンドTKO負けだった。

 昨夜の番組、復帰戦もさることながら、私は彼の奥さん、るみ夫人の言葉に深く感じ入ってしまった。彼女曰く、

「日々、凄いと思わせてくれる人。心から尊敬できて、何度死んで何度生まれ変わってきても、またこの人の嫁になりたい。絶対、誰にも渡さない。」とキッパリ!。あわわあ、ううううう、凄え・・・。

 番組では復帰戦の状況の他に彼の日常も押さえていて、トレーニングをしている時以外の彼は全くの主婦である。料理、洗濯、買い物・・・朝のゴミ出し後は、近所の小学生の登校の安全を見守りながら、まるで用心棒のように(これ以上、強い用心棒はいないだろっ!)子供の列について歩く。

 なんで、そんな過酷なトレーニングの後、買い物行ったり、洗濯したり、家族の食事作ったりするの?との質問に答えて本人、曰く、「それ、なんで歯を磨くの?って聞かれんのと同じ。ただ自然に気持ち悪いからやってるだけ」と、あっさり。ボクサーは健康管理を自分でするので、料理も奥さんより上手いらしい。

 タイでの復帰戦初戦は、凄く格下の相手だった、みたいな悪意の新聞記事を読んだだけだったので良く分からなかったが、実際に映像で見ると、全然そんなことはない。相手は若くスピード感があり、まともに強そうなボクサーで、それを老練な試合運びで辰吉は倒した。

 衝撃的だったのは復帰2戦目で、敵は1戦目よりさらに強力。良く、ボクシング漫画や映画を見て、「こんな殴られ方したら、実際は死んじゃうよ・・・」なんて思って見る時があるが、辰吉はホント、そんな風に殴られていた。そして、7ラウンド、普通に試合が進行していると思ったら、突如、タオルが投げ込まれ、試合終了。立ったまま死んだ弁慶以上に、辰吉は意識の無いまま試合をしている、という状況だったらしくそれでTKO負け。試合後、控え室で、「俺、何ラウンドまでやった?」なんて聞いている・・・(絶句)。

 ↑の、るみ夫人著 『無敵 わたしはリングに上がらない辰吉丈一郎』(株式会社ベース・ボール・マガジン社)は笑って、泣けて、ほんと良い本です。漫画『あしたのジョー』にはドヤ街の人々とジョーとの心温まる交流が描かれているが、こちらのジョーには夫人曰く“一卵性家族”という、辰吉家の4人とその周囲の人々がいる。

 世界チャンピオンに3度なった男。世界を見渡してもそうざらにいるわけではなく、それだけでも十分偉大な男であるのに、今また4度目に挑戦している辰吉。多くはもう、無理だと思っているのだろうけど、昨日、この二人を見て私もまた同じ夢を見たくなった。

 最後に、絶対不利との下馬評を覆し、3度目の世界チャンピオンに返り咲いたシリモンコン・ナコントン・パークヴュー戦直後のるみ夫人の言葉

 「辰吉限界とかやめろっていっていた人にいいたいわ。ほんまに人の人生に口出すな!って。あんたらにいわれてやめる丈ちゃんじゃないけど、もしやめてたら、この日は来てへんねんで。あんたら、その責任とれるんかって」(本書P163~164引用)

 サイコー、ほんとその通りだよな。

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