古い電車
古い電車の写真パネルを
見つめる少年
君、あれは未来の乗り物じゃあない
あれは
君のお父さんやお爺ちゃん
そのまたお父さんを
毎日毎日乗せた電車だ
その写真の中のレールに沿って
古い電車の旅に出れば
君は見たことの無い風景に
出会うだろう
デパートの催し物会場の
<平成>から
鉄橋を渡り
<昭和>へ
そして
トンネルをくぐり
<大正>へと
君がいる街の昔を写した写真の中に
変わった部分と
変らない部分
どれだけあるか探してみな
そして 人々の想いも
終点まで行ったら
また折り返してきて1と駅づつ
今に戻ってくればいい
もし元いた駅を通り越してしまったら
君
そこが未来だ
これは息子がまだずっと小さかった時、聖蹟桜ヶ丘のデパートで催された“鉄道の日記念写真パネル展”車両の変遷に見る京王電鉄の歴史”を見に行った、その会場でできた詩。小さい息子は熱心でいつまでも会場を離れようとせず、暇を持て余した私は会場のアンケート用紙に、用意されていたペンでこの詩を書いた。
今日、とある駅のホームに立っていると、現在、鉄道博物館で開催されている『第2回時刻表展』のポスターが貼ってあるのを見つけた。最近は鉄道マニアの人を“鉄ちゃん”と称してお笑いの対象にしてしまう風潮もあるが、私はこの時刻表を偏愛する人々を昔から素敵な人々だと思っていた。
お金がある人と言うのはだいたいにおいて時間が無いし、時間だけはたっぷりあるという人は大方お金が無い。私のように貧乏暇なしなのは言わずもがなで、そんな時、この時刻表で“幻想旅行”に出ると言うのはなかなか豊かな時間という気がする。
きっと古い時刻表には今はもうない路線の、今はもうない駅の名前が記されているはずで、この旅行ではそんな風に時空間を行き来することも自在な筈だ。
今、一番したい旅は 私の場合、駅弁を食べながらの鈍行列車による一人旅である。
ところで、昔の時刻表、当時どんな駅弁があったのかも分かるだろうか(笑)。
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