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海老蔵の婚約

Photo  秋が深まり、これから冬に向かっていこうとするこの時期に夏の話というのも恐縮だが、この夏私は仕事場で朝顔を育てていた。

 梅雨空のある日、事務所の近くの花屋の店先に様々な品種の苗が売られていて、中の“団十郎”なる一つを名前につられて衝動買いしてしまったのだ。「小さい苗の今は新太郎、ちょっと成長し、蔓が延びてきたら海老蔵、花を咲かせたら団十郎。」などと言って勝手に盛り上がっていたのだが、職場の数人も何かと気にかけてくれるようになった。

 蔓を絡める為の添え木を何本か持って来てくれたりする人もいて、「こっちの棒がR・Y(某有名女優さんのイニシャルです)、で、こっちの某がE・S(こちらもグラビア出身の女優さんのイニシャルです、ハイ)。」などと言って皆で笑っていた。「段々、E・Sのほうに延びてきましたねぇ・・・。」と言った具合に。

何故、急にこんな話をするかというと、もちろん、昨日(もう一昨日か)市川海老蔵と小林麻央の婚約のニュースがあったから。結婚の決め手となったものは何かと尋ねられて海老蔵は「心が美しいから。もちろん、容姿も美しいが。」と答えていた。嫁姑の問題が起きたら?の質問には「お互い穏やかな人。しないでしょう」との答え。そして「ぼくはずっと愛し続けます。」

 恥ずかしながら私は小林麻央と言う人を知らなかった。と言うか、正確には顔と名前が一致しなかった。ただ、以前、私が嫌いな関西系お笑いの大御所が司会をするバラエティをたまたま見て、下卑た質問に真っ当に答えて「カマトト振るんやない!」みたいなノリでハリセンで叩かれている人がいて、きれいな人だなと思って顔は覚えていた。叩かれて彼女は眼が涙目になっていたが、取り囲む醜い若い女たちがそれを見てさらに笑って、私は腹立たしかった。

 海老蔵の発言の中で一際目を引くのは「心が美しい」という言葉。彼の場合、全く女性に縁がなかった男が恋にとち狂って言っているのとはわけが違うから、小林麻央さん、よっぽど素敵な女性なのでしょうな。人の心のどういったところを“美しい”と感じるかは千差万別だが、子供のようなイノセンスとは違い、それはやはり他者との関わりの中で磨かれていくものだと、想像する。たいていは損なわれたり世慣れていってしまうのだが、中にはどんな苦境や悪意の中にあってさえ無理にでもそこに良い面を探し出し、それで一身に「心」を磨いていく(磨かれていく)人もいる。そして、そうした人はやはり美しい心をさりげなく獲得している。

 大事なのは素直さということ。上のバラエティで小林さんはとても素直で正直で、それが馬鹿女どもの嘲笑の的になっていたが、周囲の醜さと対比してそれは小林さんの美しさをかえって際立たせていた。それで名前もろくに覚えなかったのにその美しさのみを私は覚えていたという次第。今時、こんな娘もいるのか、と。

 海老蔵は本物なので、やはり本物は本物を見抜く力があるということか。若い頃、散々遊んでいたとしても、それをいつまでもやっていると男も貧相だなあ、と思っていたところだったので、そこはさすがと言ったところ。

 海老蔵はきっと第十三代市川団十郎になる。その時、このように美しい人が隣にいると思うとなんか良いなあ、と思う。

 芸能人の結婚のニュースなど全く興味の無い私だが、この二人は応援しようと思った。

 海老蔵、1本の添え木に真っ直ぐ伸びていけよ。

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