to Vodka
秋
途絶えた日記帳の
白いページの中から
突如、神の化身の如き数頭の馬たちが駆け出して
ぼくの空に
馬蹄形の足跡を残して走り去る
外れた気象予報士や
海図を読み違えた航海士の気持ちを知りたければ
君も馬券を買うこと
突然の稲妻と予期せぬ潮の流れが
あの5歳牝馬の
血の中にもあるから
暮れるに早い11月のメイン・レース
第四コーナーから最後の直線で
ついに明らかになるミステリーの結末に
群集は叫び、驚愕し
やがて誰もが
巨大な寂寥に散乱する
一個の漂流物になる
「長らく神の傑作(マスター・ピース)は
人間の♀と思っていたが
どうやらそれは
間違いのようで」
週末
ぼくは競馬新聞を買い
大通りに面したカフェのテーブルで
性懲りも無く また
ダートの砂埃と
緑の芝が波打つ海に
牝馬(びじょ)の末脚を求めて
航海に出る
昨日の日曜日、秋の天皇賞に行ってきた。一番人気は「史上最強牝馬(ひんば)から世代最強へ」と銘打たれたウォッカ。毎日王冠ではカンパニーに敗れたが、今回はよもやそんなことはあるまいと思っていたので、その結末に私を含め一緒に行った仲間3人ともしばらく口がきけないほどだった。
しかし、そんな悔しさはさておき、最前列で見ていた私たちは出走前の今をときめく名馬たちを至近距離で見ることができた。サラブレッドたちは本当に美しくてちゃんとしたカメラを持っていかなかったことをとても後悔した。特にウォッカちゃんは噂どおりの美女だった。
次はやってくれるよね?頼んだよ。
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