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五訓

     

       汝、風であるべし
       限りなく自由で、硬い根雪を溶かし
       まだ誰も見たことの無い果実の種を運ぶ
       南からの
       熱性の
       風であるべし

       汝、木であるべし
       鳥、花、獣、虫たちを憩わす
       太い幹と枝葉を持った
       ジャングルの
       動かない
       木であるべし

       汝、水であるべし
       天から山へやがて海へと注ぎ
       見知らぬ土地を一つに結んでいる
       虹色の魚に満ちた
       清い
       水であるべし

       汝、空であるべし
       愛する人を亡くした人が
       ふと見上げた時
       あそこに帰っていったのならと
       静に慰めを得る
       夏の
       夕焼け空になるべし

       汝、ただただ人間であるべし
       何も持たずに裸で生まれてきたのに
       あんなにあんなに喜ばれている
       古い写真の中の
       素っ裸で
       素朴な

       汝、人間であるべしー

    

 もう、十年以上も前の話。4つ上の兄が社長に就任した際、弟と何か贈ろうということになった。弟は社長室に飾って見栄えのするような絵か何かを贈ったと記憶しているが、その頃の私は凄まじく貧しくて、何も送ることができず、まだ存命だった母に「あなたは詩を贈りなさい。」と言われて書いたのがこの詩。

 私はナナオ・サカキの『ラブレター』のような詩を書こうとして、失敗?してこうなった。今読むとなんだか偉そうで、こんな人間になれるはずも無いと思える詩だ。贈られた方は随分迷惑だったかもしれないな。ゴメンな、兄貴。

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