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映画『Herb&Dorothy』~ファンタジーのような実話

 今は昔ほど物を所有しなくても良い時代なのだと思う。本なら図書館に借りに行くか、大型古書店で安く買えば良い。音楽CDもしかり。また録画して貴重だと悦に入っていた映像も、今ではYouTubeを探せば大概誰かがアップしている。

 自分はどちらかと言うと物を持たない派で人にもそれを薦めている。部屋に所狭しと物を溢れかえさせ窮屈になるなんて家賃が勿体無い、なるべく物を少なくしてスッキリ暮らしたほうがかえって心豊かに生きられますよ、と。

 この信念は多分、生涯変らないと思う。きっと長年の貸家暮らしから身に着いた習性なのだと思うけど。だいたい物が多すぎてすぐにずらかれない?という方が恐い(笑)。

 しかし、その信念を僅かながら揺るがせる映画に出くわした。映画『Herb&Dorothy(ハーブ・アンド・ドロシー)』、佐々木芽生(めぐみ)監督の、去年世界の映画祭で5つの賞を受賞し絶賛されたドキュメンタリーである。

 この映画を私はまだ見ていない。というより日本では配給されるかどうかも怪しいらしい。私はただいつも覗いているブログで紹介されているのを読んで、そのあらすじだけで大いに感動してしまったわけで、つまり、今、とても見たい映画がこれ、と言った方が話が分かり易いか。

 で、どういう映画かと言うと、郵便物の仕分けをするハーバードさんと図書館司書のドロシーさん夫妻が質祖な暮らしの中でこつこつアート作品を買い集め、30年かけて屈指の現代アートコレクターになり、そして最後にはそれら全てをナショナル・ギャラリー・オブ・アートに寄贈してしまうというドキュメンタリー。二人が暮らす1LDKの部屋はベッドの下からトイレ、キッチンに至るまでアート作品で溢れかえり、最後に運び出した時には大型トラック5台分、2000点近くもあったというから凄い。

 私が素晴らしいと思ったのは二人が決して投機の対象としてアート作品を買い漁っていたのではないということ。まだ無名の、しかし、才能があると思われる若い作家の作品を自分達の審美眼のみを頼りに買い続け、転売はせず、アーチスト達とは家族のような絆で結ばれているという点。

 そしてその無名の作家達はやがてその道の大家、巨匠になり、彼等がかつかつの暮らしの中から買い求めたその作品の一つ一つは今ではもの凄い値がついていて、ほんの数個売っただけでも夫妻はきっと大金持ちになれただろうに、最後には全て寄贈!という・・・・これはきっと美術史に後々まで残るであろう伝説、そして実話なのだけど最高のファンタジー・・・・というくらいの話じゃないだろうか。

 この映画、日本では配給されないかもしれないということだけど、YouTubeにtrailer(予告編)があった。↑を見ると二人はひょこひょことユーモラスで、生きる伝説?に相応しい風貌に見える。こういう人達がいるというところにアメリカのアートシーンの底の深さを感じるし、また同じ審美眼、同じ人生観、二人がやったことはその一致がなければ決してできないことだと思うので、これはやっぱり大人のファンタジーのような気がする。

 映画のコピーもいかしていて“You don't have to be a Rockefeller to collect art(アートをコレクトするのにロックフェラーになる必要はない)”だってさ。うん、カッコいい。

 しかし、見てない映画について書いたのは初めてだ(笑)。

PS 何気に上のYouTubeを見ていたら、1:20あたりで宮内勝典氏の小説『グリニッジの光を離れて』に出てくる河原温の<I  got up >が写っている。あわあわあわ スゲー、初めて見たぞ、これ(絶句)。

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