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手、あるいは静止した惑星 to Lucie Rie

Lucie_rie      

       轆轤(ろくろ)を楽器にして
       独自のフォルムを奏で続けた手
       <いや、違う
       アルビオン・ミューズの
       自宅兼工房のキッチンで
       ケーキとコーヒーを準備する
       老女のありふれた手 >

       轆轤の回転は
       惑星の自転に似ている
       その時
       作品を仕上げる彼女の手は
       創世記の神の
       それに似ている

       <鉢や花器の形をした無数の星々>

       伝統とは拒否するものではなく
       服従するものでもない
       それは生活の道具の中に
       常に新しく在るべきもの

       敬愛した物理学者への
       オマージュである造形と
       元素記号による暗号化された
       釉薬のレシピ

       ピンク ブルー イエロー
       灰釉 白釉 熔岩釉

       鮮やかに
       世界を彩色せよ
       何故なら 故国の想い出は
       古いニュースフィルムの中で
       戦争により
       色を奪われたので

       「私はただの陶芸家(potter)。
        作品は何も意味しない。」

       小雨降るロンドン 工房の窓の中
       忙しく歩き回る足音と
       釉薬を調合する眼差し
       そして
       電気窯から
       静止した惑星たちを取り上げる
       亡命者だった老女の

       賢明に生きた手ー

 

 

 今、国立新美術館で『ルーシー・リー展』が開催されています。先日、見に行って、すっかり魅せられてしまいました。毎日、買ってきた図録の解説や借りてきた評伝を読んでいるところ。

 6/20までやってます。私はもう一度、見に行く予定。

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