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緊急告知!『NAKED SONG―Beat Goes on,2010』開催について

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明日10/16(土)、池袋のPOLKA  DOTSというお店で、ポエトリーリーディングと弾き語りのライブがあります。
出演者 浜田裕介
      CROSS(The LEATHERS)
            篠原 太郎(The BRICK'S TONE)
            ゲスト朗読者: 阿蘇品 青
 18:00 OPEN  19:00START
CHARGE 3000円+DRINK オーダー (予約制)
                
猛暑の真っ盛りだった7月のある日、ブログを通して連絡のあった古い友人からこのイヴェントの企画を聞かされた。なんでも私には当日会場で配るパンフレットに載せるための文章を書いて欲しいとの事だった。それで書いたのが↓。
                
完全予約制なので、もしかしたらすでにチケットはソールドアウト、ということもあるかもしれませんが、興味のある方はリンク先で調べてTELしてみて下さい。私も篠原太郎以外は初めて見る人達ばかりですが、頂いたCDを聞いた限りでは皆、いい感じです。
私もお店の中をウロウロしていると思います。会場でお会いしましょう。
   
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                  -今夜から始まる-
               
昔、ある雑誌のインタヴューに答えて詩人長田弘氏がこんなことを言っていたのを覚えている。「音楽に興味の無い詩人はたいした詩人ではないし、詩に関心のない音楽家はたいした音楽家ではない」と。
確かに素晴らしい詩には本質的にメロディとリズムがあるし、素晴らしい音楽にはすべからくポエジーや魅惑的な物語が内在している。アラビアンナイトやシェイクスピアの戯曲、万葉集、黒人の綿花畑で歌うブルースからプッチーニのアリア、そしてビートルズやボブ・ディラン、無数のパンクロッカー達の歌まで。                
                                
現在では学校の教科書よりもポップ(ロック)ミュージックのCDなりを手にすることによって初めて自分の「詩人」を発見するという可能性が少なくない。かく言う私自身、小学生の時ビートルズの赤盤を聞いて以来、一体、何人の詩人たちと出会うこととなっただろうか。詩人とはジョン・レノン、ボブ・ディラン、ニール・ヤング、トム・ウェイツ、ルー・リード、友部正人、忌野清志郎、佐野元春、甲本ヒロト、真島昌利、スガシカオ、藤原基央etcetcのことで、またそこには路上や小さなライブハウスで唄う一度きりの無名のシンガー達も多数含まれる。
                
今回のこの『NAKED SONGBeat Goes on,2010』には基層を成す一つの出来事があって、それは今から22年前に遡る。198810月×日に下北沢ロフトで行われた『Beat Generatin 88』というイヴェントがそれで、主催は音楽ジャーナリストでミュージシャンでもあった故 下村 誠。もう20年以上も前の秋の日、その頃私が住んでいた三鷹のアパートに届いた一枚のDMを今も懐かしく思い出す。
                
DM50年代のアメリカの作家ジャック・ケルアックの写真から起こしたイラストの横に出演者の名前が銘記されたものだった。ケルアックやビートジェネレーションについての説明は長くなるのでここでは避けるが、一言、20世紀の青春の発明者とだけ言っておきたい。車と女の子と酒とマリワナとジャズと放浪。生きることそのものに熱狂し、それにより「アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ」にNOを突きつけた人達。
                
そのDM50sのアメリカに匹敵する経済の爛熟期でもあったバブル真っ只中の当時の日本の、ともすると豊ではあるけれど画一化された価値観に陥りがちな周囲の状況に対する、 下村 の反射的な異議申し立てのメッセージでもあったのだ。
                
出演者達の名前を見ると篠原太郎や友部正人、当時デヴューしたばかりのストリートビーツに混じって、ケルアックとビートジェネレーションの双璧であるアレン・ギンズバーグの翻訳者であり詩人の諏訪優や、明らかにサプライズ・ゲストを表す名前として“ジャック・ベルモンド”とか“ニール・スレイダー” なるインチキな名前も書かれていた。(ジャック・ベルモンドは真島昌利、ニール・スレイダーは佐野元春のことだが、当日佐野はロフトの上まで来ていたが帰ってしまった、と 下村 は言っていた。真偽のほどは不明)。
                
イヴェントでは出演者は演奏以外に自ら書いた詩を必ず一編朗読しなければならないことになっていて、それはビート達に憧れていた 下村 の遊び心に端を発したアイディアに過ぎなかったのだが、当時では珍しい趣向であったと思う。そしてその集まりは例えば60年代の初め、サンフランシスコのシックスギャラリーで当のビート達が行なった伝説的なポエムリーディングのような、その後の文化状況に多大な影響を残したなどということは全然無かったにせよ、その場に居合わせた者たち、その周辺にいた者たちとって『特別な夜』としていつまでも記憶されることになった。
                 
 今夜のイヴェント『NAKED SONGBeat Goes on,2010』の企画書には上記の故 下村 誠と故諏訪優の二人についてのリスペクトが語られている。振り返ると私の「ビートとは何か?」なる質問の答えとして諏訪優が紹介してくれた人物こそ が下村 であり、著書『佐野元春ドキュメント・路上のイノセンス』文庫版のあとがきで、亡くなった諏訪優の意志を継いでいくのだと宣言していた人こそ が下村 であった。そして二人がリレーしたものはこの日本における“ビート・スピリット”としか言いようの無いもので、そのバトンは今回のこのイヴェントを企画したスタッフ(かつてあの場所にいた者たち)に、いつの頃からかすんなりと手渡されていたのだと思う。
               
                         ☆
さて、最後にビート達の作品を読むことや彼らのメッセージに、今、触れ、共鳴することの意義についての私の考え。彼らの特徴は大きく「旅」と「詩を書き読む」ことの二つにあると思うのだが、あらゆる場所にヴィデオ・カメラが持ち込まれ踏破され、この地球上から「旅」は消滅してしまった。
                
残るは「詩」を書き、「読む」ことなのだけれど、これはデジタルなコミュニケーションツールの進化に伴い、かえって人間同士が疎遠になっていく状況に対し十分に有効なのではないだろうか。そう、人は今、人と相対するのがとても面倒臭いのだ。恐れていると言ってもいい。あらゆる機器が人と人が生身で接しなくていいような空間を現出させる方向で出来ていて、ケイタイやメールの普及はかえって私達から時間や場所を共有する意志と機会を奪ってしまった。
                
大事なのは「声」を「発する」ということ。ハワイの秘法「ホ・オポノポノ」によると、声に発せられた言葉にはその意味以上にそれぞれ「波動」があって、特に良い言葉には個人の精神のみならず社会そのものを癒し、回復させる力があるのだと言う。
                
声に発せられる良い言葉の最たるものは「うた」だと私は思う。かつてビート達が持っていたコミュニケーションへの狂暴なほどの熱情は、全て「ことば」へのこだわりから始まったものなのだ。
                
浜田裕介、CROSS、篠原太郎等、今夜の言葉を大切にするシンガー達の朗読と歌の演奏。そして歌が誕生する瞬間を追及したワークショップ。数は要らないし、伝説や語り草になんかにならなくても良い。
                
 ただ大事なことが今夜から始まる。

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コメント

今、知ったよ。。遅かった・・行きたかったです。残念~(ノ_-。)

投稿: mimi | 2010年10月18日 (月) 09時59分

 mimiさん、お久しぶりです。このイヴェントはねぇ、ほーんと、凄い良かったんです。いやー、びっくりするほど。客全員から詩なり、好きな言葉なりを一行ずつ書いてもらって、出演者がその場で構成し歌を作るとか・・・そしてその場でCDに焼いて帰りに全員に配るというのも画期的でした。(このイヴェントについては今、正式にブログにアップしようとしているところです。)

 僕はこの前、妻の誕生日に書いた“おはよう”という詩の“子供が生まれるようにオーブンの中でパンが焼ける”というラインと、“君は僕の鏡を割り、僕は君の夜をほどく”という一行を出しましたが、それぞれ立派な歌になっていました。

 マーシーが作って小山卓治がカヴァーした『煙突のある街』をそれぞれに所縁のある篠原太郎さんと浜田裕介が歌ったのが最高にかっこよかったです。

 そして会場に亡き二人(諏訪さん&下村さん)の亡霊がいるような気がする夜でした。

 “POLKA DOTS”というお店もとても良いお店でしたよ。

 次回は出演者だよ・・と帰り際、主催者に言われました。ドッキリ。

 次回はもう少し早く教えますね。

投稿: ナヴィ村 | 2010年10月18日 (月) 20時40分

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