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雪の絵筆~2011.2.11 鬼怒楯岩大吊橋にて

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       雪の絵筆よ
       描きかけのこの絵を染めて
       二人の道行(たび)の足跡を消して

       <これは
       どんな眠り薬がもたらした夢か>

       気がつくと長い吊り橋の上にいて
       空からは 雪 雪 雪
       すくむ足元の奈落には
       深緑の水が音をたて
       岩肌を艶かしく 舐めていた    

       <魚たち、寒くないのかしら>
     
       川面に舞い落ちる雪が
       水の輪廻に殉ずる
       妖精たちの身投げに見える
       そして
       山からの吹き降ろしの風が
       二人をしきりに誘惑した

       雪よ 今
       お前と 二人の命に
       どれ程の違いがあるか
       例えば密猟者の誤射で
       淫蕩な獣である僕等が
       血に染まりここから
       落ちていくとして

       帰り道 一面の白は紫に変り
       太陽が無くても夕暮れと知る
       霞む彼方には野火
       それともあれは
       小さな家の灯りか
     
       夜 バスはひた走り
       お前の眠りの中にも雪が降り積もる
       雪や こんこん
       雪や こんこん
       雪の絵筆よ
       生きかけのこの世を染めて
       二人の道行(たび)の足跡を消して       

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