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写経とボブ・マーレー

Photo 先日の日曜日は鎌倉にいた。山形で避難生活をしている弟夫婦を友人のU野夫妻が招いてくれて、しかもその夜、夫妻主催のパーティがあった。弟達が来たこともあってか、もう何年も会っていなかった旧知の人々が集まって、それは楽しい夜であった。

 その席で私が「震災、原発事故があって以来、写経を始めた。」と言ったことから、お経やお題目についての話になり、私が般若心経はジョン・レノンの『イマジン』、阿弥陀経はレッド・ツェッペリンの『天国へ階段』、そして“南無阿弥陀仏”はボブ・マーレーの『Get up stand up!』だ、と説明したら、ちょっとウケた。まあ、音楽好きの人達の集まりだったので分かり易く説明しようとしたらそんな言い方になってしまったのだけど。

 ただ、般若心経がジョン・レノンの『イマジン』だというのは自説ではない。これはみうらじゅんが言っていて、初めて聞いた時は言いえて妙と笑ったが、今は案外、ジョン・レノンは本当に般若心経からヒントをえて『イマジン』を書いたのでは?なんて思ったりもする。確か“般若心経”と両腕に刺繍の入ったスカジャンを着ているジョンの写真を見たことがある。

 『イマジン』は一般にはヨーコの著書『グレープフルーツ』からインスパイアされたことになっていて、それも真実だろうけど、“無い”ということを認識することによって心の平安に至るという歌の構造は般若心経そのもである。ただし、ジョンが“無いとイマジンせよ”と言ったものについては個人的に異論があるが。

 阿弥陀経が『天国への階段』と言ったのはややあてずっぽである。阿弥陀経はあの世の美しい情景を読んだお経で、その風景描写の部分を『天国への~』と言っただけ。ただ、その美しい風景の中を移動して“Not Roll, to be Rock”と確信を得るところはやはり似ている、と思う。

 で、南無阿弥陀仏=ボブ・マーレーの『Get up!Stand up!』説だが、これは五木寛之の『親鸞』のワンシーンからの連想である。民衆に急速に広まりつつある念仏教に危惧を抱いたお上が、念仏を唱えることを禁止する。しかもその教えを広めた僧が何人か河原で斬首されることになり、人々はお題目を唱えてあげたいのだけれどできない。そんな時、一人、若き親鸞だけが立ち上がり“南無阿弥陀仏!”と叫ぶ。そして叫びはやがてさざ波のように広まり、やがて人々が決起する・・・というシーン。虫眼鏡で光を集め、焼き、一点突破のように向こう側に至ろうとするその愚直さ、集中力、根気、健気さ、は私にボブ・マーレーを連想させた。親鸞はボブ・マーレーだと言ったら大笑いされてしまったが。

 日曜日、東京について弟は「まるでジム・キャリーの映画『トゥルーマン・ショー』みたいだ」と言った。『トゥルーマン・ショー』とはテレビ番組の企画としての架空の世界で育ってしまった男の話。本当に、今の東京にいるとなーーんにも分からないんだよな、全く。

 私が写経したり、お題目を唱えたりしていると言うと、何か落ち着いた徳のある人間を目指しているような印象を受ける人がいるがそれは違う。私はただ生の実相に触れていたいだけ。9ヶ月前、震災によって東北で、故郷で、たくさんの人が死んだ。だけど、たった今私は生きている。その事を忘れたくないだけ。

 弟のブログに山形に避難している人達の大忘年会の記事が出ているのでリンクしておきます。貼り付けてあるYouTubeの画像は兄がつくったもだとのこと。図らずもウェブ上で兄弟3人のコラボになってしまったナ、ハハ。 

 http://hopi-09.cocolog-nifty.com/blog/

 事態は3月から何も変っていないんだよ。勝手に過去にするな東京。

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