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『モールス』~バンパイヤという天使

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 ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト。よ・ん・あ・い・び・で・り・ん・ど・く・び・す・と。やっと、普通に口について出るようになったぞ。

 これは映画『ぼくのエリ』の原作『モールス』を書いた作者の名前だが、日常会話の中で、~の小説・・・みたいに言う時、言えなくて困った。これからは“ヨン・アイヴィデ”とか言えばいのかな。それとも“ヨン様”とか。でもぺ・ヨンジュンみたいだしな。

 このブログで映画の方について、北欧の神話のよう、と書いたが、原作はもっとヨーロッパの退廃が色濃い。

 http://penguin-pete.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-e183.html#comments

いじめ、少年愛、暴力、貧困、ドラッグ、アルコール中毒、そして背景が1980年代となっているのにすでに地下核シェルターがあって、そこが少年達の秘密の隠れ家のようになっている。ノルウェーって当時すでにこんなだったのかな。いずれにせよそのダークな世界観にぞくぞくする。

 映画を見たときからずっと疑問だったのはエリが男か女か、ということ。映画では自ら、男の子でも女の子でもない・・・と言うシーンがあったが曖昧で、その点、原作ではその辺の事がハッキリ書かれている。翻訳も意図的に(多分)、前半は女の子のような柔らかい言葉遣いで訳されているが、後半、エリの口調が男の子っぽくなってきて、オスカルとエリは初め恋に落ちた恋人同士のようだが、段々と性を越えた友情→同性愛・同志愛的になっていく。

 私はこの本をいつも通勤中や仕事場の休憩時間中に、MP3機でU2を聴きながら読んでいたので、あらゆる場面を思い出す度、『ノーライン・オン・ザ・ホライゾン』や『ミステリアスウェイ』が自動的に脳内リプレイされるようになってしまったが、小説自体、本当はイギリスのロック歌手モリシーの『Let the right one in』にインスパイアされている。

 http://youtu.be/0qY9YUvoskw

 日本では主人公2人が壁越しにモールス信号を送りあって会話するところから『モールス』という題なっているが、本当のノルウェイ語での題は『Let~』(正しき者を入れたもう)で、アメリカではまさしくその題が付されている。この歌とバンパイアの「入って良いよ。」と招かれなければ部屋に入れないという習性を絡めている。

 と、ここで日本版の話になるが、単行本は分からないが、私が手にした文庫本の装丁が素晴らしい。上下2巻を並べるとモノクロのカッコいい写真が出来上がる仕組みで、まるでUK若手ロック・バンドの、満を持して発表した3枚目のアルバムジャケットみたいじゃないか!(U2の『ヨシュアトゥリー』の雰囲気に似ていると個人的に思って、それで聴きながら読んでいました。単純?ハイ、そうです)。

 最後にエリを目撃した子供達は彼女(彼)を 天使、と言った。映画について書いた時、私はバンパイアという妖精、と言ったが、そう、天使。ヴェンダースの映画『ベルリン天使の歌』では天使は中年のおじさんだったけど、殺人鬼が、バンパイヤが、天使という場合もあるのだ。

 映画は世界中の映画賞を総なめにした傑作だが、この小説も本国でベストセラーを記録。しかもこの長編がデヴュー作というから、このヨン・アイヴィデと言う人ただものじゃないなあ。プロフィールを見ると1968年生まれとあるから私より3つ下。すでに第二作目のゾンビものもノルウエーでは大ベストセラーを記録しているらしいが、日本語で翻訳されているんだろうか?うーん、読みたい。

 もし、2作目を出版する時も是非、装丁はUK若手バンド、アルバムジャケ風でお願いしますハヤカワさん。ゾンビものだからといって決してマイケル・ジャクソンの『スリラー』のようにしないように。

 小説のジャケ買い、というのも有りかもな。 

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