2012年2月29日
まず東京は大雪で朝から交通が混乱。ぼくも普通、雨の日だったら車で行なう筈の現場の見回りを歩いてすることになって、約半日、中古のMP3機で音楽を聞きながら真っ白な雪道に足跡を付け続けた。
バーン・スタイン・ラスト・コンサート、ベンジャミン・ブリテンの『四つの海の間奏曲』の「月光」を聞きながら歩いているとバイブにしていた携帯が振動して、娘から無事に高校に合格したとの連絡。今日は高校受験の合格発表の日だったのだ。初め合格五分五分と言われ、内申点が悪いと脅され、最後にはワンランク下げろとの教師の声を無視し、初志貫徹して娘は行きたい高校に見事合格した。偉い。君、本当に僕の子か?(笑)。
その後、会社に戻るのに電車に乗ろうとすると、人身事故で騒然としている現場に遭遇する。停車した電車の周囲に大勢の人がいて「まだ生きているぞ!」とかの声が上がっている。雪で電車が来る時にホームから転落したのだろうか?それとも今日は高校受験の合格発表・・・落ちた子だっているだろうに・・・悪い予感が頭をよぎるが野次馬の噂話は様々で真相は分からなかった。幕を張られた中、運ばれる担架を呆然と見送る。
そして仕事から帰り、PCをチェックすると、S君からメール。ぼくのいる会社をこのほど辞め、静岡の伊東で暮らすことになったとのこと。高校から付き合っている!彼女と今日ついに入籍し、結婚記念日は四年に一度・・とか書いてある。そうか、その手があったか。様々な事情があって、とあるが、彼なら乗り越えられると思う。ぼくにご朱印帳を始めさせたのは彼だ。去年暮れ、四年間ともに働いた人が自死したニュースは相当に落ち込んだが、こういうのもまた違った意味で淋しい。しかし、吉報なのだから。おめでとうの返信をする。また必ず会おう。
その後、さらにPCを見ていると、私信のやりとりをさせて頂いている絵本作家でロッカーの長谷川集平さんが姫路市芸術文化賞を受賞したとのこと。うわー凄い。おめでとうございます。丁度、今、僕は集平さんの映画評論集の『映画未満』(筑摩書房)を読んでいるところ。この本はもっと多くの人に読まれるべきだと思う。映画をただの暇つぶしや一過性の楽しみとしか捕えていない人たちに特に読ませたい。映画について考えるだけで人はここまで深みに達することができる。しかもこの本を書いた時、集平さんはまだ30代半ばだったことに思い至りなおさら驚く。筑摩さん、是非、復刊を。
で、今、ぼくが何をしているかと言うと、娘から連絡を待っているところ。本日、椎名林檎の東京事変の解散ライブがあり、その中継ライブを見に某映画館まで出掛けている。彼女はいつの頃からか椎名林檎の大ファンになって、いつも風呂で歌っているのは例えばこんな曲だ。
僕は透明人間さ きっと透けてしまう 同じひとには判る
噂が走る通りは 息を吸い込め 止めた儘で渡ってゆける
秘密も愉しいけれど直ぐ野晒しになるよ それを笑わないで
好きなひとやものなら有り過ぎる程有るんだ 鮮やかな色々
あなたが笑ったり飛んだり大きく驚いたとき
透き通る気持ちでちゃんと応えたいのさ
毎日染まる空の短い季節
真っ直ぐに仰いだら夕闇も恐ろしくないよ
(『透明人間』 椎名林檎)
有り過ぎる好きなひとやものを娘はこれから少しずつ手にしていくのだろうか。ぼくがこれから少しずつそれらを諦めたり手放したりしていくその傍らで。次の四年後、娘は大学1年生で、僕は50になるがそれはどんな気分だろう?きっと今とたいして変らないんだろうな。
2012年2月29日、多分、後々まで忘れられない日って今日みたいな一日のことじゃないだろうか。
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