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映画『メアリー&マックス』~懐かしい未来

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 今でも文通している人っているのだろうか?ブログ、Twitter、FaceBookなどソーシャル・コミュニケーションのツールがこれだけ発達してくるとマテリアルとしての手紙・ハガキの類は年賀状や暑中見舞い、喪中ハガキくらいで、現在ではそれすら段々と減ってきていると聞く。

 数は少ないが、私には捨てられない手紙が幾つかある。昔の彼女からのラブレターとかそんなロマンチックなものじゃなく、昔の友人・知人から貰った普通の手紙。だがそこには当時の人間関係や空気感が閉じ込めてあるようで愛しく、いつまでも状差しから退場しない。選ばれた便箋、筆跡、貼られた当時の切手。

 映画『メアリー&マックス』はオーストラリア在住の、苛められっ子の少女メアリーと、ニューヨークに住むアスペルガー症候群を患う中年男マックスの20年に渡る手紙による絆のを描いた、真実を基にしたクレイアニメ。友人のブログで紹介されていて、ずっと気になっていたが昨日レンタルしてきて家族で見た。皆で泣いた。

 文通をしながらも少女から大人の女性に成長していくメアリーも可愛いが、私が興味深く見たのはアスペルガー症候群の中年男マックス。アスペルガー~に関しては十年前位、仕事場のバイトに自己申告してきた人がいて、以来、何冊か本を読んでそれなりに知識を得たつもりだが、読むほどに私は自分もそうではないか?という疑念を持った。興味のあることに異様にのめり込む性格や場の空気を知っていながらあえてそれに反した態度をとってしまうところ等・・・しかし、当事者に聞くと、あなたのは種類が違う、と言われた(笑)。

 ウォール街のデモやロンドンの暴動でTwitterやFaceBookが大いに利用されていたのは知られるところだが、手紙にはそのようなことは出来ない。しかし、手紙にはもっと大事なことが出来る。それを小さな革命とか救済とか言ってしまいそうだが、昔、普通にあったことをそんな風に呼ばなければいけないことになってしまっているとしたら・・コミュニケーションの面で私達は退化したと言わざる得ないだろう。

 この映画を見て初めて知ったのだが、クレイアニメって一日に4秒間位しか撮影できないらしい。で、CG全盛の今、手紙によるこの物語をクレイアニメで作ったアダム・エリオット監督はすごく正しいと思う。手間隙かければ良いというものではないが、しかし、そうして作られたものには確かに人の胸を打つものがある。それは私にはかつての世界を思い起こさせるが、一緒に見ていた子供達の目にはとても新鮮に映ったみたい。

 私はそこに原発事故以降の未来の在り方を夢見る。

 

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コメント

これはホント傑作だね。
コミュニケーションっていう大きなテーマに、イジメや家庭崩壊や孤独死や他、いろんな小さな提起が散りばめられてる。
観終わってしばらくしてから、「あー、そうか!」ってひとつ気が付いたことがあった。
フェイス・ブック。
マックスが自分の感情を伝えるのにいつも手引きにしていたのが、泣いたり笑ったりする感情の表情を描いたまさに“フェイス・ブック”。

投稿: グリニッチ・ヴィレッジ | 2012年3月20日 (火) 09時37分

 アスペルガーの人は人の表情から感情を読み取ることが出来ない。共感能力の欠如、とか本を読むと出ているけど、マックスは笑顔の絵=嬉しい、恐い顔=怒る、見たいな辞書?を持っていて、確かにフェイスブックでした。

 僕の仕事場にはこういう傾向の人が多い。特質として普通の人があまり興味ない分野でものめりこむともの凄い専門家のようになってしまうという面があって、そうした人が集まり易いんだろう。で、僕はそういう人たちが大好きなんだな。

類は友を呼ぶというやつか(笑)。

投稿: ナヴィ村 | 2012年3月20日 (火) 12時33分

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