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映画「グラン・トリノ」~武士の魂

O0400042010183044423  車が壊れた。本当なら来年の1月が車検なのでそれまで騙し騙しといきたいところだが、悪い部分はなんせブレーキパットなのでそんなに悠長なことは言ってられない。このまま黙って乗っているといつ何時ブレーキが効かなくなるわかりませんよ、と整備士は言っていた。

 私は運転は大好きだが、車そのものには興味はなく、あんまり見た目が酷くなく安全に走れればそれで良い、といつも思ってきた。自分の中で車に関して一番の問題は実はカーステレオのスピーカーだったりする。

 自分で車を所有するようになって、多分、今乗っているのが5台目くらいになるが、今まで何に乗ってきたかも余り覚えていない。一台前はカローラ、その前はさらに古いカローラ、その前は・・・・分からん。そのくせ廃車にしたり、手放す時の妙に感傷的な気分だけは覚えている。もう少し大事に乗ってやれば良かった・・・などとその時は思っているのだから随分勝手な男だ。

 先日見た映画「グラン・トリノ」に美しいシーンがあった。クリント・イーストウッド演じる主人公が愛車グラン・トリノを愛情たっぷりに磨いた後に、それを眺めながら満足そうにビールを飲むシーンで、あれを見ると良くアメリカ人は車を下駄がわりとしか思っていないというような言い方が嘘だと分かる。

 西部開拓時代のカウボーイの末裔である彼らにとって車は馬そのもので、西部劇を指す“Horse Opera”という言い方で「アメリカン・グラフティ」のような車がいっぱい出てくる映画を説明する人もいる。映画での車グラン・トリノは主人公の人生の象徴のようなもので、我々日本人なら武士の魂と言ったところか。

 映画については詳しく述べないが、感想としてはメッセージが映画の中で素晴らしく帳尻があっていて、そこが少し出来すぎと思った。まあ、好みの問題だろう。ただ、役者イーストウッドは言われているようにこれで最後で良いと思った。

 映画の最後に流れる歌はクリント・イーストウッド本人が出だしだけちょっと、歌っている。「俺のグランよ~、俺のトリノよ~」みたいな歌。渋い。

  http://www.youtube.com/watch?v=JZmbO6BQhWU

 良く物を擬人化し、名前をつけたりして大事にしている人がいて、昔はそれを異様に思っていたが、最近は、そうすることも全く無意味ではないような気がしている。

 自分が一番大切にしている何かを誰かに託す。あげる。物に愛情を込めるということがなければ、その行為に美しさは生まれない。そして、そういう場面を目にした時、私はとても羨ましいと思うのだ。

 映画「グラン・トリノ」がどういう映画か、と聞かれたら私は一言こう説明しよう。アメリカ人の爺さんがアジアの青年に車をあげる話だ、と。

 そうそう、車、治さなくちゃ。また金かかるなあ・・・・。 

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コメント

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

投稿: アパレルの履歴書 | 2012年11月14日 (水) 23時33分

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