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新しい「いせや」に行ってきた。

Photo  焼き鳥屋の場所が一万五千年前も焼き鳥場だった、という話を教えてくれたのは3月に他界した友人である。吉祥寺の老舗焼き鳥店「いせや」の店舗改築に伴う発掘調査をしたら、旧石器時代の調理場である礫群・集石遺構が出てきて新聞にそんな風に書いてあったとのことだった。

 http://www.asahi.com/national/update/0110/TKY201301090780.html

 http://matome.naver.jp/odai/2135784048757452201

 互いの仕事柄、調査した中に共通の知人がいてそんな話になった。若い頃から一緒に何度も行った店なので、元気になったらまた行こうと、病室での最後の日々も、私達はそんな話をしていたのだった。

 昨日、リニューアルした「いせや」に行った。東京都武蔵野市吉祥寺の「いせや」は井の頭通り沿いの総本店と公園口の店舗と2店ある。(この公園店改築中に仮店舗として北口に出していた店も継続して営業していくとのことだから、これからは3店か)。総本店の方は数年前にすでに改築されているが、新しくなってから私は一度も行ったことがない。件の“創業一万五千年?”と言われたのは公園口の方。

 昨日、一緒に行ったのも旧い友人だ。2年前に20年振りに会って「いせや」で飲んだのだが、その時も公園店の方だったので、それで今回も、ということになった。上述のようなこともあるし、聞くところによるとこの9/11にリニューアルオープンしたばかりだというので、どんな風か興味もあった。

 昼に待ち合わせ。以前は店外に流れる煙に燻されるようにして勝手に入っていって席に着くという感じだったが、新しい「いせや」は整列して、順番ずつ席を割り振られる。入ると公園側に面した方はガラス張りになっていて、外の緑が良く見え、吉祥寺、と言うよりは何処かの避暑地の店のようだった。友人とは再会して開口一番、“一万五千年前から・・・”と、野趣あふれる気分でいたところだったので、予想以上に小綺麗になった店内は少し肩透かしを食ったようだった。店員のお姉さんは発掘の件は知らなかった。

 しかし、違和感を覚えたのはここまで。焼き鳥が出てくるといつもの、一本80円のいせやの焼き鳥。私はここのタンを塩で、ハツをタレで食べるのが好き。そして、焼き鳥と同じくらいに(もしかしたらそれ以上に)、ここのシューマイが好きだ。酔ううちに串打ちされた肉がなんだかギャートルズの漫画に出てくるそれにも思えてきて、大いに語り、大いに喰った。昼に入ったのに、あっという間に夕方になってしまった。楽しかった。

 私達が話したのは、中々上手くいかない互いの近況のことと、次の一万五千年後のことだ。

 飲みすぎた。

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エッセイ・その他 (112)」カテゴリの記事

コメント

いせやに最後に行ったのは、たぶん僕の思い違いでなければ、2005年のある夏の日であります。その時は、僕より二十歳以上若い、売れないヨンコマ漫画を書いている175センチメートルある長身の、美しい彼女と一緒だった。僕がモテたわけでもなく、同伴デートをしていたのであります。彼女の店に行く前に、まずは焼き鳥でもと言うことで、僕は井の頭公園のいせやに行ったのでありました。彼女はその店の活気と値段の安さに驚いてました。彼女は福島市出身で、あの時、まさか数年後に福島第一原発が水素爆発し、世界は劇的に変わるなんて予想もせず、僕たちは店を出たあと、井の頭公園を散歩し、キスをして、いろんな話をお互いにして、そして彼女の働いているイケナイお店で僕たちは楽しんだのでした。彼女は、結局漫画家を辞め、海外独り旅をして、福島市に帰りました。彼女と最後にメールを交わしたのは、2006年の6月30日、すなわち僕が福島県いわき市を離れ、今住んでる茨城県ひたちなか市に引っ越した夜でした。彼女はいかしてました。

投稿: ジャミン | 2013年10月15日 (火) 13時18分

 いせやは、昔(もう20年くらい前・・・)村田さんと下村さんがうどん玉を持参し隠し持っていて、食べ終わったすきやきに入れてうどんすきにして食べているところ、店の人に怒られて、私も怒られて、えーっ、何で私まで・・・って思ったことを覚えています。今では良い思いでですが(笑)。

投稿: B子 | 2013年10月15日 (火) 22時36分

 そんなことありましたねぇ・・・・。B子さん、20年の時を経て、ごめんなさい、です。

投稿: ナヴィ村 | 2013年10月16日 (水) 04時42分

我が青春のソウルフード、いせやのタン塩ハツタレ…喰いたい!

投稿: ほぴ村 | 2013年10月16日 (水) 11時12分

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