あまロス
今日初めて新しい朝ドラ「ごちそうさん」を見たが、私はやはりまだ“あまロス”。あまちゃんロス症候群。
「あまちゃん」についてはもう色んなところで散々言われているので特に付け加えることもないのだけれど、私が個人的に何が画期的と思ったかというと、それは朝から全編を通して全開の東北弁が聞けたこと。
“ふるさとの訛りなつかし朝ドラの「あまちゃん」の中にそを聞きにいく”
初回か2回目だったか忘れたが、東北人の宮藤官九郎(宮城県)の自虐ネタなのか画面に字幕が付いていて笑った。ドラマの中に「ずっと東北弁で通して良いのはあき竹城さんだけよ!」というのも確かあって、それも笑った。東京編はさすがにそうでもなかったが、それでも主人公のアキはずっとズーズー弁で通していた。嬉しかった。
方言については関西の人が惚れ惚れするほど堂々としているのに比べ、東北弁はやはり昔からコンプレックスの種でしかなかった。昔、実家で浪人中、一足先に東京に出て行った友人達は、あー言ったら笑われた、とか、こー言ったら恥をかいたと、いちいち電話をかけてきて、小学生の頃、千葉の標準語圏内から福島に越して、散々「気取ってる」「カッコつけてる」と逆にからかわれていた私は、やっと気づいたか!と、いつも笑ってやっていた。
しかし、数年後、東北出身の出稼ぎ労働者の飯場に暮らしていた時、その息苦しいまでのコンプレックスは見ていて滑稽を通り越し、強烈に悲しかった。
東北出身以外の人は“東北弁”って、どれも同じに聞こえるのかもしれないが、ドラマの中でほとんどの人が北三陸のことばで話しているのに一人ばりばりの“いわき弁”で話している人がいて、それが潜水土木課の先生“いっそー”。
私はすぐに分かった。役名も「磯野心平」で、それプラス会話の端々に“何々してケローッ”と言うのは我がいわき出身の蛙の詩人草野心平をネタにしているのは明らかだ。このドラマはそんなところにも小ネタが効いていた。演じた皆川猿時がいわき出身ということでそうしたのかと思うが、他県の人が信じようが信じまいが、いわきには実際にああいう“いっそー”のようなキャラの人が多い。
最終回、私は娘とオープニングナンバーが流れる中、お座敷列車が北三陸の海沿いを走る様を空撮して終わるだろうと、ちょっと予想を立てていたが、実際はアキがいつも一人で防波堤を駆けていくところを、ユイと二人で走っていくのを空撮するエンディングだった。予想を超えていた。暗いトンネルを二人の少女がペンライトを持ってはしゃいで走るり抜けるシーンも良かった。
東京にいると方言で喋れない。ちょっとやってみてと時々言われたりすることがあるが出来ない。恥ずかしいとか言うのじゃなく、本当に出てこないのだ。しかし、このドラマの放送期間中、私は家ではずっと東北弁で喋っていた。杏は嫌いではないが「ごちそうさん」だとそうはいかない。それが淋しい。
とにかく初回から欠かさず全部見た朝ドラは初めて。それで“あまロス”。
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コメント
そんなに東北弁が聞きたければ東北に来ればいいじゃないか。
“東京にいると方言で喋れない?”
“あまちゃんのおかげで家の中では東北弁がしゃべれたからあまロス?”
それって東北人を馬鹿にしてやいませんか?
「その息苦しいまでのコンプレックスは見ていて滑稽を通り越し、悲しい以外の何ものでもなかった。」
その言葉、そっくりそのまま君に贈ろう。
投稿: ほぴ村 | 2013年10月 6日 (日) 02時09分
今日は休みで、夜勤帰りの僕は、GEOでDVDを七枚借りまして、その一枚がローリングストーンズなのです。僕は昔から酒を呑む時部屋で観てしっくりくるのがローリング・ストーンズでして、いわばいい加減のどうしようもない僕に、ストーンズは優しいのです。音楽だけだと、ロキシー・ミュージックかな。こんなことを書くと、今から45年位前のシャボン玉ホリデーという日本テレビの日曜の夜六時半にやっていた番組のコントを思い出します。いわゆるお呼びでない。しかしあの番組はよく見たね。9月は生秋刀魚をよく食べました。今年は山形県にも顔出してません。きっと僕の幸せは関西弁でもなく東北弁でもないのかもしれません。
投稿: ジャミン | 2013年10月 7日 (月) 14時57分
ジャミンさん、弟とは電話で話しました。別に お呼びでない、じゃありませんよ、大丈夫です。
先日、「いわき日和」のバックナンバーを見ていたら衣袋さんの名前が出てきてちょっと驚きました。安竜さんは“盟友”と書いていました。色々ありましたがキネマ館で飲んでいた頃がなつかしいですね。
昨日、寺山修司の直筆原稿を見る機会がありまして、アンケートのようなものを書いたら、景品で彼の詩が書いてある絵葉書のセットを貰いました。
“一頭のサラブレッドは
名もない男が書く一行の詩である
一頭のサラブレッドは
マラソン少年のあかつきの夢である
一頭のサラブレッドは
刑事に追われる男の望郷の歌である
一頭のサラブレッドは
家のない子の大草原への旅情である
一頭のサラブレッドは
この時代の最後の叙事詩になるだろう
むかし 私にも故郷はあった
いま 私は私自身の故郷である”
だって。場所は東京競馬場。寺山の字はとても個性的でした。
投稿: ナヴィ村 | 2013年10月 7日 (月) 21時09分
詩人の仕事とは何か? 僕はこの映像を見てそれがわかりました。是非ご覧下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=FGwvuZE04EU
投稿: ほぴ村 | 2013年10月 8日 (火) 21時28分