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田中の15球

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 最終回に田中が出てきた時のスタンドの異様な雰囲気はテレビで見ているこちら側にも伝わってきた。前夜に160球投げた翌日の9回リリーフ。この起用は星野監督ならではのものだろう。北京の時、投手の起用の仕方で散々叩かれた彼だが、田中の力投はそれをも払拭したかのように私には見えた。 

 九回表、田中は2本のヒットを打たれ、一打出れば同点というところに立たされたが、見ているこちら側も「田中でだめならしょーがない」と腹が決まっていて、もう見守るしかなかった。田中でなければ駄目で、田中で駄目ならそれは駄目だったのだ・・・とベンチも選手もスタンドも全員が納得しているという状況。こんな場面、長いプロ野球の歴史で一体どれくらいあったのだろう。最後に矢野のバットが空を切った瞬間、家族中で雄叫びを上げてしまった。

 田中ばかりが注目を浴びてしまうのは仕方がないが、このシリーズ、楽天の他の投手陣も好調で、特に美馬、則本。ドラフトで入団が決まった桐光学園の松井がプロでどのくらいできるのかは未知数だが、もし、来季、田中が大リーグに行ってしまっても、楽天は強いだろう、と思った。

 東北人として喜びが一入なのは言うまでもないが、逆に、東日本大震災直後の嶋の例のスピーチ以降、楽天のゲームを“ただの野球”として見れなくなった部分も個人的にはあって、応援していて切ない時もあった。

  だが、それも昨夜の「田中の15球」が終わらせてくれた。一度、楽天が頂点に立たなければどうしても気が済まなかった。この3年、長かった。被災者の苦しい状況は未だ変らずにあるが、来季からはまた、もう少し楽しんで野球を見れる気がする。

 祝・楽天優勝。

 

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野球(30)」カテゴリの記事

コメント

以前コメントに書いたのですが、僕はあまりプロ野球に関心がなかったのですが、田中の24勝0敗には、正直懐かしい気がしたのです。あの昭和の稲尾の42勝とか杉浦の日本シリーズ4連投とかを思い出したのです。長野や管野を除けば、昨今の若者は昔の若者の様に巨人じゃなきゃ駄目というより、アントニオ猪木的に私はどんな球団の挑戦も受け入れる的で、その辺は素敵な感じがします。確かに王や長嶋と一緒のチームでプレーしたいと言うのが昔であり、今の若者はゆくゆくはメジャーで勝負したいと言うのが、彼らの心の奥底にあるような気がする。プロ野球はJリーグとメジャー・リーグにだいぶ影響されて、チーム・ネーミングやワイルド・カード制度などを取り入れ、昔のある意味で素朴な伝統を壊して、日本シリーズも何か変な感じになってしまった。僕はかつての様に、特定のチームの勝敗に一喜一憂する人間でなくなってしまった。それは何故だか今もわからない。二本松市の仮設住宅にいる兄が、仙台市は景気が良く活気があるぞと言ってました。風の噂ではあのキネマ館のマスターも仙台市にいるそうです。今頃、田中イイゼ、最高ダゼなどと言ってるかもしれません。

投稿: ジャミン | 2013年11月 9日 (土) 13時45分

 今年は王さんのホームラン記録や稲尾の連勝記録が破られるということがあって、驚きました。

 僕の世代の感覚から言うと野球のシステムが変ってしまって、あの時代の記録が破られるはずが無いという固定観念があったのですが、やはり人間のやることなのでいつかは誰かが・・・と言うものなのでしょうね。大リーグの話だけどイチローの連続安打記録のシスラー越えは84年振りでしたし。(ただ金田の400勝、4000奪三振とかは今後も無理だと思うけど。)

 僕も以前は特定のチームの勝敗に一喜一憂するという感じではなかったですが、数年前からパリーグは楽天、セリーグは横浜を応援しています。

 男の子を持つ親はだいたいそうだと思うけど、息子が野球に夢中になる時にまたピークがくる。息子と夢中になって野球場通いをしていた頃は、パリーグが最高に面白かった。例のストライキ騒ぎがあったり、楽天の設立などがあった頃です。

 “田中の15球”と書いたのは“江夏の21球”を意識したものです。が、状況は間逆でした。江夏は近鉄との日本シリーズの時、9回にリリーフにあがりましたが、ピンチが訪れた時、古場監督がベンチで動いた。自分に完全にまかせてくれなかった、とシーズン後、江夏は球団ともめて退団となりましたが、それからいくとこの前の田中は完全にまかされていて、同じ野球でもこうも違うものかと思いました。

 あとは横浜。中畑監督は一度辞めると言いましたが、結局、続投するようです。ピッチャーがいないんですよ、いつまでもハマの番町だけじゃなあ・・・という感じです。あと三嶋か・・・。

投稿: ナヴィ村 | 2013年11月11日 (月) 19時02分

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