新選組の今
散歩がてら、新選組ふるさと記念館に行ってきた。入るのは十年ぶりくらいか。“描かれた「新選組」~映画・アニメから見た新撰組のイメージとファン~”なる企画展が催されている最中だった。 http://www1.hinocatv.ne.jp/shinsenr/tenji/index3.html
初め芝居や読み物の中に登場した時の新選組は鞍馬天狗などを見れば分かるように悪役で、近藤、土方、沖田らのイメージも今のようには固まっていなかったとか。展示されていた昔の紙芝居「鞍馬天狗 暗殺人別帳」(街頭芝居 志滋海社中所蔵)の絵を見ると、描かれている沖田総司はまだ薄命の美少年ではなくて、やさぐれた雰囲気の中年の浪人だ。
以後、子母澤寛の「新選組始末記」があり、その映画化、ドラマ化があっったが、決定的だったのはやはり司馬遼太郎の「燃えよ剣」と「新選組血風録」。
これによって現在の隊士それぞれのイメージは固まった。が、司馬遼太郎の例の、まるでその場にいたかのような文章によって史実ない交ぜのまま理解される風潮がそのままになってまった、と、展示は強調しているようだった。そして2002年の大河ドラマ「新選組!」によるブームだが、それ以降、新選組は歴史的学的に理解される存在ではなくイメージの中で繰り返し語られる文化になった、という意味の解説があった。
気づかなかったが去年平成25年(2013年)は新選組結成150年目の年だったのこと。そのため10本以上の「新選組漫画」が掲載、出版されたのだとか。それに今ではゲームにもなっているらしい。知らなかった。注目される隊士も今では様々で、ある漫画の影響で現在は斉藤一が一番の人気なのだとか。そう言えば去年の大河「八重の桜」で斉藤一をDragon Ashの降谷健志が演じていて重要な役どころだったっけ。そうか、そういうこともあるのか。
中に近藤、土方、沖田などの武術の流派・天然理心流の技を解説するコーナーがあって、展示解説の人が他の来館者に、この天然理心流を継承しようと現在でも道場で教えている、と言っていたので、道場がどこにあるのかと聞くと、なんと我が家の至近であった。灯台下暗し。
上の写真はJR日野駅近くの日野八坂神社で販売されている絵葉書。安政5年(1858年)、八坂神社に奉納された天然理心流の奉納額。武芸上達を祈願したもので、中に近藤周介、井上松五郎、佐藤彦五郎、井上源三郎、沖田惣次郎(総司)、嶋崎(近藤)勇、などの名前が見える。土方の名はまだない(安政6年入門)。
イメージの中の新選組と史実の新選組。そして彼らのその結成から顛末までを様々に見ていく時、福島出身の自分が今日野にいることに改めて縁を感じた。
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