窓の外ではリンゴ売り
少し前の事になってしまったが、去年末NHK・BSプレミアム「井上陽水ドキュメント“氷の世界40年”日本初ミリオンセラーアルバムの衝撃とその時代」という番組を見た。面白かった。
http://www.telecomstaff.co.jp/blog/nowmaking/002301.php
名曲「氷の世界」のあのイントロがスティービーワンダーの「迷信」から着想されたこと、オープニングナンバー「あかずの踏み切り」は初め恐ろしく暗い弾き語りの曲だったこと、「心もよう」の歌詞は初め紅茶をいつもの店で買ってきて飲んだら美味しかった・・・という単純な詞だったこと、そして当時その「心もよう」と「帰れない二人」のどちらをシングルカットするかでプロデューサーと陽水はじめ若き録音スタッフとの間で確執があったこと、などなど・・・当時関わった人々の証言は録音音源を前にすると忘れていた記憶が様々に呼び起こされるのか、興味深い話ばかりだった。
何故、あんなに売れたのか?学生運動の終焉、オイルショック・・・色んな人が色々に語っていたが、結局は分からない。発売日、レコード屋の前に朝から行列ができていて、店頭に陳列する間もなくダンボール箱を破って直接手渡しして売ったとか、当時の店員さんの話が生々しかった。
中で「“氷の世界”からこっち、世の中はずっと氷の世界のまま・・・」と言っている人がいた。どういうことだろう?世の中の動きなど関係ないところで自己完結した孤独を生きる人々に、この「氷の世界」は市民権を与えたということか。そしてそれから40年経った今、そうした人はむしろ当たり前になってしまったということか。
“窓の外ではリンゴ売り/声を枯らしてリンゴ売り/きっと誰かがふざけて/リンゴ売りの真似をしているだけなんだろう” 「氷の世界」の有名な冒頭の一行だが、この詩に関して良く質問されるというが陽水自身「どこからでてきたのかと言われてもんねぇ・・・」みたいに困っていた。そりゃ困るだろう。
“震えているの寒さのせいだろ/恐いんじゃないさ/Oh 毎日、吹雪、吹雪 氷の世界(井上陽水「氷の世界」より)”
大寒初侯 もうすぐ都知事選。東京は今日も寒かった。
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コメント
僕はめったにカラオケしませんが、ある場面で歌う状況になった時歌う楽曲は、沢田研二の時の過ぎ行くままにと、フランク永井の君恋しと、橋幸夫の恋をするならと、井上陽水の氷の世界なのです。僕は1970年代に青春してました。今、聴いている音楽は、ジョニ・ミッチェルのブルーから、マービン・ゲイのライヴに代わりました。僕はスペインの赤ワインをを飲んで鍋をつついているところ。消費税が上がる前に、どんどん買おうじゃないの素敵な作品を。窓の外では、我が国の景気は回復している。でもそれは消費税上がる前に動いてるだけ。上に政策あれば、下に対策あり。僕は二色の独楽というアルバムの後、陽水に対し深い関心がなくなってしまった。同じことが吉田拓郎にも言えて、今はまだ人生を語らずの後のアルバムに関心がなくなってしまった。
投稿: ジャミン | 2014年1月23日 (木) 11時18分
ジャミンさんと僕は10才くらい違うんでしたっけ?初めて「氷の世界」を聞いたとき僕は小学校4年生か5年生くらいでしたね。それでその頃家にあったギター弾き語り用のソングブックに誤植があって「りんご売り」が「リンゴリラ」になっていた。ヘンな歌詞だなーと思って。兄貴のカセットテープで確認したのを覚えています。
子供心にこのうたはなんか怖かったですね。のぞいちゃいけないものをのぞいてしまったような。
このアルバムについて面白い記事を見つけました。http://www.satonao.com/cd/j_pops/yousui.html
確かにあの声で歌われると何でも名曲になってしまいそうな気がします。
陽水の最近の曲(って最近の曲でもないんだけど)では僕は「長い坂の絵のフレーム」とか「積荷のない船」とか好きです。相変わらず何を歌っているのか分からないんですが。
投稿: ナヴィ村 | 2014年1月23日 (木) 19時09分