映画『利休にたずねよ』~槿花一日(きんかいちじつ)
師走に仕事で痛めた腰が思いの他ひどくて、この休みはずっと家にいた。なにせ9連休なので、その何処かで郷里のいわきに日帰りでも行く予定にしていたが、妻の体調も良くないということで結局、取りやめにした。
TVも歌舞伎関係の番組以外はほとんど見なかった。それで前にこのブログで書いていた通り、船橋聖一の『新・忠臣蔵』をひたすらに読んでいた。全八巻。現在、六巻に突入で継続中だが、後世に散々に尾ひれがついたこの物語の細部のそれぞれを、筆者は集めた膨大な資料と協調しつつ筆を進めている。この大事件についてあまり詳しく知らなかった当方としては随分勉強になった。かえって充実した休みになった。
なのでここ数日は完全に引きこもり状態だった。が、本日、休みの最終日、さすがにこれでは・・・と思い、映画を見に行ってきた。見たのは『利休にたずねよ』。こちらは完全なフィクション。
以前に原作を面白く読んだので映画化と聞いて見たいと思っていたが、ネットで映画評、感想のようなものを見るとハッキリと賛否両論。実際のところどうなのかと余計に興味をそそられた。亡き團十郎と海老蔵の最後の競演というのも歌舞伎好きとしては見ておきたいと思った。
感想は色々あるが原作はミステリー仕立てだったのに対し、映画は茶の湯の世界の「美」を映像化しようというところに重きが置かれていたように思う。ただ、私はそちらの方は全くの門外漢なのでそれが成功しているのかどうかは分からない。分かったのは海老蔵の演技が重厚過ぎて他のキャストとの差が目立ったこと。あと気になったのは大森南朋の秀吉。秀吉は嫌いだが、あんな人だろうか。もっと複雑な人だったと思うけど。
この映画で利休の美を表す象徴的な小道具として槿(むくげ)の花が出てくる。そして物語の重要な場面にはこんな言葉が使われる。
「槿花一日(きんかいちじつ)」
http://www.kokin.rr-livelife.net/koto/koto_ki/koto_ki_8.html
韓国語ではムグンファ。息子が小さい時、動物園に行ったらキリンを指差して何故か“ムグンファ、ムグンファ!”と言っていた。意味も分からずその言葉の響きが気に入って自分のメールアドレスに使うことにして、以来そのままだが、後年、花の名前だと知った。しかし、それが槿(むくげ)のことだとは知らなかった。ここでもまた一つお勉強。
東京で過ごす正月は今年で3年目。いつもいわきの実家に帰って過ごしていたが、それができなくなって、それでも去年まではかえって人の少ない東京に珍しさを覚えるようにして出かけていたが、今年はそれもしなかった。完全に家族四人水入らずのお正月。だが静かで良い正月だった。
緑の粉末を器に入れてかき回して飲んでいるが、私の場合は抹茶ではなく青汁。酒もほとんど飲まなくてお陰で体調は良い。後はこの腰痛だけ。で、明日から仕事、仕事。
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