山形から来た弟と「さすらい人」に行った。
ベルリン映画祭で女優・黒木華が銀熊賞(最優秀女優賞)受賞。映画「小さなおうち」での演技が評価されての事だが、私は原作を読んだ後すぐこんな文章を書いた手前、封切後すぐに見に行った。
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映画は少し不満が残る出来だったものの確かに彼女は良かったと思う。
私は原作を3・11を絡めた読み方をして少し飛躍が過ぎたかと思っていたが、あれから世の中はあれよあれよと戦前と似た雰囲気になってしまった。世間は育ちの良い首相の政策で景気が良くなるのをひたすらに期待して、その間に次々と新たな法律が制定されていく。アジア諸国との間に緊張があって、その上、東京オリンピックを数年後に控えているというところまで同じだ。
映画で黒木演じるおタキは雪の山形から奉公のため東京に出てくるが、ちょうど金曜日に山形から弟が出てきていて、膝下くらいまで積もる雪の中を二人でざくざく歩いている時、その映画のワンシーンを思い出した。ただ映画と違うのはおタキの時代、東北の少女にとって東京は憧れの場所だったろうが今は違う。かえって避難先の山形で農業を始めた弟の楽しい話を私も妻も息子も娘を皆眩しく聞いていた。彼が生き生きと迫力を持って話すのと同様のものが今ぼくらにあるだろうか、そんなことを考えた。
弟はガイガーカウンターを持ってきていて、我が家の放射線量を測定してくれた。測ると0.06マイクロ・シーベルト。「ここは安全だ」と弟はまじめな顔で言った。これが弟のリアル。
9日は大雪で受験の息子は雪中行軍のようにして会場に向かったが、その間、家には駄目だと本人が諦めていた本命の学校の合格の知らせがもたらされて、伯父に良い報告が出来たと、帰宅して息子は喜んでいた。夜、やっと歩けるようになった道を皆で歩いて南平駅前の「さすらい人」でお祝いをした。久しぶりに酒を飲んだ。楽しかった。
写真は本日、山形へ帰る弟の後姿。前方の陸橋をくぐった先の空に本当はきれいな富士山が見えていたが、写らなかった。
PS この26日で25年続いた「さすらい人」は閉店とのこと。通風やらなにやらあって、しばらく酒を止めていて最近行っていなかったのが悔やまれる。
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コメント
息子さん、合格おめでとうございます!。
村田双子が並んでるところを生で見てみたかったなああ(笑)。
ひいきにしてるお店が無くなってしまうのは残念ですね、さすらい人一度は行ってみたかったです。
投稿: 水村 聖美 | 2014年2月18日 (火) 23時40分
水村さん、コメントありがとう。これから益々金がかかります。
弟はその後、新宿に行って古い友人と食事して、その時、写真を撮られました。小さい頃の写真は二人で写っているという以外、自分達でもどっちがどっちか分かりません。先日、撮ってもらった写真は見たらどっちが僕か分かった。
もう似ていませんよ。
投稿: ナヴィ村 | 2014年2月19日 (水) 06時19分