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環状2号線の調査風景

Photo_4  “私の仕事で、東京のど真ん中で、こんな大規模なものは今後もう二度と無いだろう。初めて現地に連れてこられた時、新橋から虎ノ門まで歩かされ、「今、歩いてきたこの通りを全部掘るんだ。」と言われたときはそれだけで眩暈がするようだったが、今日一人でまた歩いてみると確かに時は流れ風景はすっかり変わってしまっていた。”

 上は3年前、新橋・虎ノ門の調査が終わった時、私がこのブログに書いた文章の一部。今日、初めて完成した環状2号線“マッカーサー道路”と言うやつを走ってみた。東新橋の、いつも行っていた“ゆで太郎”の先を左折して地下道をくぐるとあっという間に虎ノ門に出た。空いていたからものの2~3分。そういう風になるため作ったんだろうから当たり前だが、ちょっと大げさに国と個人ということを考えた。私達の4~5年の激闘(大げさじゃなく)はこの2~3分のためにあったか、とそんな風に思ったらあっけない。

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 あの頃、新橋や虎ノ門の高層ビルの上から調査の進捗に合わせて何枚も写真を撮ったが、すべて提出してしまって手元にない。常々、残念に思っていたが、昨夜、ネットで画像検索していたら私達が調査している風景を撮影した写真があるのを見つけた。

 その他、完成前の周辺の風景も意外とネット上にアップされていて、それぞれを見て、その慨視感が少し切なかった。

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もちろん、そうした風景はもうない。

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2014 楽天開幕3連勝

 無敗のエース(田中)が抜けた穴を何で埋めるのか?去年から誰もが心配したところだが、この開幕を見る限りそれはその他の豊富な投手陣、また新外国人のユーキリス、と言ったところだろうか。開幕戦での則本の粘投、2戦目のユーキリスの初アーチと塩見の復活、3戦目の辛島の力投から続く継投策と活気のある上位打線。楽天、開幕3連勝。やはり去年のあの優勝を経験したのが大きいだろう。

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 今日は久々に西部ドームに出掛けるつもりでいたものが諸事情があって取り止めに。天気も悪かったので、しょうがないとビールを買い込んでテレビで観戦した。前半、先発の辛島はツーアウトから四球を立て続けに出したりして心配したが、中盤、AJのレフト前ヒットあたりから段々と楽天のワンサイドゲームのようになって安心して見れた。結果は7対1。一日の東北開幕に大きなみやげになった。

 嶋のあの感動的なスピーチから3年が経った。

 http://www.youtube.com/watch?v=EoX5usejKB4

 が、忘れてはいけないのは被災地の多くはまだあの時のままだ、という事。アベノミクスとかいう東北を置き去りにした政策が全てにおいて優先したような風潮が幅を利かせる中、東北の人たちがどんな思いで楽天戦を見ているか考えてほしい。作家・村上龍はかつて「日本には何でもあるが“希望”だけがない。」と言ったが、東北は逆だ。多くのものを失い、傷だらけだが“希望”だけがある。楽天ゴールデンイーグルスはその希望の一つだ。

 今朝の新聞のスポーツ欄は楽天の連勝を伝える記事と同じページにヤンキース田中がオープン戦の対マリーンズ戦で10奪三振を奪ったとのニュース。現・楽天投手陣にとってこの偉大なエースを真近に見ていたというのはやはり財産だろう。今日の試合後のヒーローインタヴューは辛島だったが、試合後も謙虚に今日の良い点、駄目な点を分析していた。かつての田中のように若いなりに勝負師の顔をしていた。頼もしい。

 シーズンは長いからこの先何が待ち受けているか分からないが、まずは幸先の良い滑り出し。今年も楽天を見る。東北の希望を見る。 

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Native mind

 今日で縄文の現場は終わり。この仕事をしているといつもそんな時代のものを掘っていると思われがちだが、もちろん掘る時代を選べるわけではないので僕個人に限って言えば15年振りだった。作業員のみんなもいつもより1.5倍くらい熱心だったような気がする。その、いつもより0.5多い部分をぼくは現場で「熱き縄文魂」と笑って呼んでいたが、土器片をはじめ、打斧、石鏃等が住居跡からぞくぞくと出てくると冗談抜きに少し気持ちが高揚してくるようだった。工期が短くて大変だったが楽しかった。そう、楽しいことはいつだって大変だ。

 先日、弟と会った時、「この時代に下村さんの歌を響かせたいね」なんて話をしていたら、弟が今、連日YouTubeにアップしてくれている。下村さん、とは2006年に火事で亡くなった音楽ジャーナリストでシンガーソングライターだった下村誠。「虹の箱舟」、「ジェームス・ディーンの唄」、「Bird」、「青い空の記憶」、「海への風」等等。以前はそれぞれの歌が生まれる瞬間、またレコーディングにも立ち会っていたりしたので客観的になれなかったが、今は時間が経ったせいか冷静に聞ける。どれも良い曲だと思う。

 ぼくが下村さんの曲で一番好きなのは「Native mind」。“縄文魂”のことではないけれど、調査が終了した今日の現場にはピッタリ。

 みなさん、“そこにいてくれてありがとう、暖かいまなざしをありがとう” 

 また、会いましょう。

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甦る 

 昨日の夕方、BS11(イレブン)の報道番組で特集:「甦る~避難先で復活した日本酒~」
を見た。3・11の津波で酒蔵を消失した福島県浪江の鈴木酒造が避難先の山形県長井市で酒造りを再開し日本酒「甦る」を作るまでを追ったドキュメンタリー。

 身内の宣伝で恐縮だがこの「甦る」を作るための種米「さわのはな」を作ったのがやはり避難先の山形で農業を始めた弟たちのグループである。昨日の番組は身内、友人、知人総出演といった感じで、なんだか正規のTV会社がわざわざプライヴェート映像を撮って見せてくれたような奇妙な感じだった。だが、客観的に弟達の活動を見ることができたのも本当で、改めて、凄いことやってんな、と思った。ある長井市の方が「かえって避難してきた人達が、私達の町の価値を教えてくれた。元気をくれた。」みたいなことを言っていて、そこに“復興”の一つのモデルを見た。

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 僅少の「甦る」を去年は身内のよしみで2本手に入れ、1本は会社の飲み会で皆で飲み、1本は亡くなったばかりの友人の霊前に手向けた。飲んだ人は皆美味しいと言ってくれたが、如何せん数が少ないのと入手経路がはっきり分からないのがあいまって、弟に頼んで“ない”と言われるともうどうすべきか分からなかった。

 それでこの2年目の「甦る」発売にあたっては少し前から東京では何処で手に入るかあらかじめ聞いておいた。特に我が多摩地域で。昨日の番組によると今年は1400本作られたとのことだが、今、多摩市聖蹟桜ヶ丘関戸の「小山酒店」で手に入る。

http://himeraruzemi.blog.ocn.ne.jp/tama/2009/01/post_6704.html

今日、仕事帰りに早速寄って1本ゲットした。行くと店のおじさんは「甦る」がつくられた経緯を良く知っていて、なんとこの4月5日には鈴木酒造の鈴木大介氏も呼んでシンポジウムを開くのだと教えてくれ、そのチラシをくれた。

http://seiseki-s.com/images/140405forum.pdf#search='%E5%BE%A9%E8%88%88%E5%A7%94%E6%94%AF%E6%8F%B4%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%A0+%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%9E+%E8%A2%AB%E7%81%BD%E5%9C%B0%E9%85%92%E8%94%B5%E3%81%AE%E5%86%8D%E7%94%9F%E3%81%A8%E8%AA%B2%E9%A1%8C'

 被災後の瓦礫の中やその後の更地で、復興作業にあたった多くの人達が一升瓶を囲んで車座になって酒を酌み交わした。そこから今の日本酒ブームが起きたとする話があるらしいが、真偽の程はさておき、確かに今の時代には日本酒が合うような気がする。

 買ってきた「甦る」をぼくは風呂上りに冷で一杯飲んだ。美味い・・・・。

 明日は3・11から3年目。

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青空の扉

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 今日は友人の一周忌。最後の日、「楽しい時をありがとうございました。」と敬語で言われて、それが見舞いに行ったそのひと時のことなのか、それとも出会ってからの30年間のことなのか分からなかった。その事をいつも考える。

 先日、彼の夢を見た。車椅子に乗っているので押してあげようとしたら思い切り手を振り払われた。それで、ようやく、本当に彼は青空の扉を開けて一人旅立って行ったのだと了解できた。

 また会えたら今度こそバンドをやろう。何もかもやりつくしたベテランミュージシャンが原点回帰するために古いR&Rを完コピでやるみたいに。

 http://youtu.be/ts-cuupINBo

 また会おう。それが去年の今日約束した事。

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まどみちおの「チョウチョウ」「するめ」

 先週の金曜日、仕事場で詩人まどみちお氏が亡くなったことを知った。去年末の吉野弘氏といい、また世界に埋めようの無い空席が一つ増えたような気がしている。

 まどさん、というと大概、まず「ぞうさん」の・・・ということになるが、間違いではない。ただ、ありきたいりな言い方として「ぞうさん」だけではない、と言いたい。しかし、その意味としては「ぞうさん」以外にももっとすばらしい詩があるぞっ!というのは勿論として、ここでは「ぞうさん」以外の動物もいっぱいいるぞ、という意味で「ぞうさん」だけではない、と言いたい。

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 かえる さる いぬ ねこ やぎ いか きりん さる おうむ くま うさぎ ちょうちょ・・・・・・きっと思いつく限りあてずっぽうに挙げたとしても、絶対どの動物も虫も一度は詩になっていると確信が持てるほど、まどさんの詩にはありとあらゆる生き物が出てくる。

 週末、訃報を聞いて本棚にある「まどみちお全詩集」を改めて読んで発見したのは、やさしいひらがなで書かれたこれら生き物たちの詩はネイティブ・アメリカンの詩の世界に通じるものがあるということ。色んな知識や科学などに犯される前の人間は、きっと世界をこのように見ていたのだろう、と思える。

 まどさんの詩を良く「子供にわかりやすい」とか「大人でも楽しめる」という言い方をする人がいるが間違いで、「いのちあるもの」ならなんでも、というのが本当だという途方も無いレベルだと思う。もし、ぞうややぎやきりんがことばを話せたら、きっと、まどみちお詩集を楽しめるだろうと夢想する。誰にでも書けそうだ、と言う人がいるが確かに中の幾つかは誰にでも書けそうかもしれない。が、書き続けることはできない。しかも104才まで。

 最後にぼくの好きなまどさんの詩を二つ挙げておく。ご冥福をお祈りいたします。

 

         

         「チョウチョウ」

       

         こころなら

         こんなに きれいなの・・・

  

         そう いって

         でてくるのかしら

         もじゃもじゃけむしから

         いつも

         チョウチョウは

       

  

         「するめ」   

         とうとう

         やじるしに  なって

         きいている

         うみは

         あちらですかと……

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