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佐野元春・NO DAMAGE DELUXE EDITION~下村さんのライブ・レポート

 先日、阿佐ヶ谷のharnessというお店で、ある方から思いがけなく嬉しい事を聞いた。去年12月に発売された佐野元春の「NO DAMAGE DELUXE EDITION」の中の特製ブックレットの中に故下村さんの文章が使われているというのだ。

http://www.110107.com/mob/pageShw.php?site=OTONANO&ima=0917&cd=no_damage

  2006年12月6日に火事で下村さんがこの世を去った時、少なからずぼくが驚いたのは、晩年の彼の周囲にいた人達の多くが彼が以前ちょっとは名の聞こえた音楽ジャーナリストだったということを知らなかった、という事。まあ、昔、何者であったかなんてことは関係なく、下村さんが素のままでも愛すべき人物だったということの、これは証拠でもあると思うのだけど。↓は下村さんの代表的な著書。

 Photo_4

 ただ、葬儀の後、その事に一抹の悔しさを覚える面々は何とか彼の書いた膨大な文章を記録に留めまとめておくことはできないものか、と口々に言い合った。中には国会図書館で当時の雑誌を逐一コピーしてきて、皆で手分けしてブログにアップしよう、という案まで出た。だが、それらは実行には移されず、7年の歳月が過ぎてしまった。

 因みに佐野元春についてあまり詳しくない人のために言っておくと「NO DAMAGE」とは1983年に発表された佐野4枚目にあたるコンピレーションアルバム。当時、佐野元春は人気絶頂の最中突如渡米を発表し、それは一つの「事件」だったが、その直前にそれまで発表されたシングルとオリジナル・アルバム(+「ナイアガラ・トライアングルVOL2」)の中から選曲された「NO DAMAGE」が届けられ、それはアルバムチャートで初のNO1を記録した。

Photo_2 この「NO DAMAGE」は同名の映画もある。佐野の第1期絶頂期「ロックンロール・ナイト・ツアー」の模様を捕らえたドキュメンタリー。

 この映画のフィルムは長く紛失したままだったが先ごろ発見され、去年夏、デジタル・リマスターされたものが東京で再上映された。「DELUXE EDITION」はこのツアーのライブ音源とDVD映像も含む超豪華版で、収められた下村さんの文章とは1983年雑誌「ガッツ」3月号に掲載されたこの「ロックンロール・ナイト・ツアー」のライブ・レポートだとのこと。ぼくはまだ読んでない・・・と書いてしまいそうになったが、もとい。読んだ。30年前に。絶対。

 教えてくれた方はある人にこの「NO DAMAGE DELUXE EDITION」を渡したいのだが連絡のつけ方が分からないと困っていて、驕って言うのではなく、どうやらその橋渡しができるのはぼくだけのようだった。それで、先日、ぼくは何年かぶりにその人に電話をかけた。懐かしかった。

 去年の夏は東京にいなかったので、ぼくは映画「NO DAMAGE」をまた見れなかった。近くの立川でやっていたのに。30年前も福島の地方都市で高校生だったぼくは無論この映画を見る術はなくて、その代わりに毎月出る音楽雑誌を学校帰りの駅ビルの本屋でむさぼるように読んでいた。当時は誰もがそんな風だったのだ。

 今、YouTubeに映画のシーンが細切れにアップされているが、その後、友人となる下村さんが30年前に文章で伝えようとしていた“熱”の断片に触れることができる。さっきまた見てしまったのは「ロックンロール・ナイト」。

 http://www.youtube.com/watch?v=McyjfFPsu6g

 1983年。27才の佐野元春と29才の下村さんと18才のぼく。今、一人のアーチストのファンでいることで、その後に起きた個人的な、様々な出来事を思って不思議な気持だ。同じ幻を見つめていた(ロックンロール・ナイト)ということか。

 なんにせよ音楽ライター下村誠の名がこうした形で今に残されたことが嬉しい。

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