健さん追悼
健さんの訃報を聞いて思ったのは自分が一体、何本の高倉健主演の映画を見ただろうか、という事。
「網走番外地」、「君よ憤怒の河を渡れ」、「幸せの黄色いハンカチ」、「遥かなる山の呼び声」、「野性の証明」、「ブラック・レイン」、「居酒屋兆治」、「鉄道員(ぽっぽや)」、「ホタル」、「単騎、千里を走る」、そしてさっきTVで「南極物語」を見て、合計11本ということになった。数はあんまり見ていない。東映の任侠ものに関しては「網走番外地」以外、全く見ていない。
全部で205本の映画に出たということだがら見たのはほんの一部だが、どの健さんが一番良いか、と聞かれても選べない。イギリスのミステリー作家ディック・フランシスの小説の主人公が皆別人でありながら結局一人の男(と言うか男の一つのタイプ)を描いてるのと同じように、健さんも一人の男をずうと演じていたようにぼくには見えた。それがどんな男だったかは・・別に説明しなくても誰もが知っている。
高倉健、という名前はそれだけで男の中の男、見たいな人を指す形容詞になってしまっているが、実際、健さんが演じたような実直で不器用な人が身近にいたとしたら、その人は今、いい男という評価を受けるだろうか?とふと思ってしまった。その時は勿論、その人本人よりも周りの読解力が問われるが、そうした人を評価しない世間とやらに自分も時々加担している時が確かにあって、健さんの映画を見るとそんな自分が正されるような気になる。そしてその自罰感には微かな懐かしさが混ざっている。
どれが一番と選べない代わりに印象に残っているシーンを一つ挙げると、「鉄道員(ぽっぽや)」で広末涼子演じる、幼い頃に死なせてしまった娘の成長した幻?と一緒に食事をするシーン。「うめえなぁ。。。」と言って飯を喰う健さんの姿が何故か忘れられない。
「男」と言うことなら健さんは150%くらい憧れの対象でしかなく、近づこうと思ったことすらないけれど、追悼番組でプライヴェートでのエピソード等を様々知って、「人」ということであれば死してなお学ぶべきところの多い人だと思った。実際、健さんのような「人」は今は女性に多いような気がするし。
美 しい「人」が亡くなった。ご冥福をお祈りします。
美 しい「人」が亡くなった。ご冥福をお祈りします。
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