秋が終わる~光が丘公園でインプロ
今年は秋が長かった。暦の上では小雪も過ぎてとっくに冬なのに、まだ少し暖かさが残っているせいか秋の気分が抜けきらない。
先月末、山形の長井に行ったら紅葉が終わりかけていて、途中、通過した福島が盛りであった。その後、東京に戻ってきて徐々に色ずく木の葉に目を凝らすようにして過ごしたが、勿論、東京の紅葉も素晴らしかった。だから今年は秋を二度経験したような気持ち。
昨日、練馬区の光が丘公園に行った。高校の頃、バンドの真似事をしていた時、僕のバンドでギターを弾いていてくれた友人がいつの間にかサックス・プレイヤーになっていて、大学の頃、やはりバンドの真似事をしていた時に僕のバンドでドラムを叩いてくれた友人がパンディエロなる打楽器を習得し、20年以上の歳月を経て、いつの間にか二人はセッションをするようになっていた。
ある日、携帯が鳴って、このセッションに混ざってポエム・リーディングしてくれないか、と言うので、いいよ、と答えておいたら、昨日、それが実現した。
場所は練馬区の光が丘公園。紅葉は終わりかけて、ほとんどの木は葉をつけていなかったけど、それでもまだ十分にきれいだった。東京は東西に長いため、その間の移動は限りなく繰り返したが、南北の移動はあまり機会を得ず、30年東京に住んでいてこの公園に来たのは昨日が初めて。井之頭公園や石神井公園よりもスペースが十分で、こうしたパフォーマンスをやるにはぴったりの場所だと思った。僕ら以外にも楽器の練習している人がそこかしこにいて、聞くと練馬区はミュージシャンの居住率が高いのだとか。
読んだ詩は「朝食」「Le Mer」「大雨」「おはよう」「Bell」「さよなら」「Who am I」「宇宙の輪郭」の8編。
ポエム・リーディングというと大概、孤独感に付きまとわれるが、今日のは楽しかった。ジャック・ケルアックやギンズバーグなど、アメリカ50年代の、ビート・ジェネレーションの詩人達がジャズ・ミュージシャン達とコラボレートしていた理由が良く分かった。言葉を選ぶという事とフレーズを生み出すというのは何処かで共通しているのだろうか。旧友二人の他、昨日初めてお会いしたもう一人も含めてソプラノ・サックス×2、バンディエロ×1、それと僕だったが、一緒に声を出していてなんだか僕自身が楽器になったような気分だった。他の三人の吹くフレーズや叩くリズムを詩のように聞きながら、読んだ。気持ちよかった。
初め選んだ場所は「鳥が来なくなるから・・・」と野鳥の会の人から苦情がきて追っ払われ、また、「権力の着る服は黒・・・」なんて読んでいたら自転車のおまわりさんが二人、現れたりして焦ったが、そういうのも面白かった。演奏は、初め、どんなことになるのだろう?と思ったが、段々と形になってきて、最後の頃はちょっとキマッテた。段々皆乗ってきて、写真家でもあるパンディロの友人の2月の写真展の会場でやろうといことが急遽決まってしまった。そして、いつかこのメンバーで山形にツアーに行こうという事も。
朗読を含めたインプロビゼーションなんてアングラ?なことをしているのは僕たちだけで、公園の楽器を抱えた多くの人は大体がちゃんとした曲を練習していて、ほとんどがクリスマス・ソング。予報では明日から寒くなるようで、今日、僕の中でようやく秋が終わった。
今日から12月。そして明日からが冬。
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