CM 「ただいま!いわき」を見た。
先日、高円寺のグッドマンで催されている友人の写真展会場で同郷のイヴェントプロデューサー・Sさんに会った。話は共通の知人の息子さんの話、彼が水戸といわきで経営するライブハウスのこと、また彼がプロデュースしているアイドルグループの事など多岐に渡ったが、どうしても最後は原発と放射能の話になった。また東京では決して報道されることのない事件の数々のこと。
当日、自身も打楽器奏者である写真家と、もう一人のドラマーの即興に併せて詩を読んだりして楽しかったが、聞くとその初対面のドラマーは浪江出身で、なんと僕の友人のシンガーソングライターのアルバムでドラムを叩いている人だった。僕らと同じ福島県人ということで写真家が呼んでくれたのだった。今、東京で"福島県人"と言うだけで何か言葉にならない暗黙に了解されるものがあって彼ともそうだった。
写真はいわき市がPRに作ったCM"ただいま いわき"の蒼井優。
映画「フラガール」以来、彼女はいわきのミューズだが、あの映画も斜陽のエネルギー産業(炭鉱)従事者たちがどん底から再生を果たす物語だった。今、いわきは復興バブルで黒字倒産の店まで出る様相らしいが、覆っているのは明るい闇。本当は暗いトンネルに差す一条の光のように優ちゃんの笑顔は輝いて見えて良いはずなのに、コントラストが無い分、胸に刺さらない。
こうしたCMが作られる一方、先日も福島第一原発からは高濃度汚染水が外洋にダダ漏れしているニュース。アンダーコントロールって何だったんだ?
この笑顔が何かを隠蔽しているとかそんな穿った見方はしたくないが、起きていることの事実が届くメッセージをいわき市はもっと外に発信すべきではないかと思う。漫画「いちえふ」にあるように作業員たちの多くはオフをいわきで過ごす。昨日、久しぶりに「フラガール」を見たら、ラスト近く、坑道に入って行こうとする鉱夫たちの姿が廃炉作業員たちと重なって見えた。
短いCMの中に取り上げられている塩野崎灯台、アクアマリンふくしま、松柏館、白水阿弥陀堂。皆、僕の好きの場所でどこも懐かしい。が、今はその懐かしさに憤りと悲しみが含まれている。
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