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群林堂の豆大福を食べた。

Cai_0453 去年、秋、食べまくった港区高輪・松嶋屋の豆大福。今週前半、また三田で仕事があり、半年ぶりに件の大福を食すが、相変わらず美味なり。その後、週中からは文京区の御茶ノ水女子大学の現場に行ったが、H君のスマホ情報でここは東京三大豆大福の、松島屋に並ぶもう一つの雄『群林堂』の近くであることを知る。早速、昼休み買いに行き、試すが・・これが・・なかなか。

 Cai_0455_2松島屋のそれに比べ衣の餅が柔らかく絶妙な塩気、あんは甘さ控えめなものの松島屋のよりは甘い。そして豆の風味が強く、その一体感たるや宇宙だ。松島屋から共に豆大福フリークになったH君ともども「オレはやはり松島屋派だな。。。」と言ってはみたものの、それはどちらを先に食べたかというだけの問題だろう。芸術的に美味い。長蛇の列で昼休み中に買って戻れるだろうか?と不安になったが粘ってよかった。

 女子大の中に入るのは貴重な経験だと思い、やや緊張していたが、実際は春休みなのであまり学生はいなくて閑散としていた。コーラスのサークルのような人達が来ていて青空にきれいな歌声が響いていた。

 写真はキャンパス内の白モクレン。段々、春めいてきた。

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 桜も咲いて...いたがまだ三分咲きくらいで来週が見時だろう。

 三大豆大福の最後は渋谷区神宮前「瑞穂」。わざわざそのために出かけるようなことはしたくない。いつか食べる機会が来るまで静かに待っていよう。

来週からまた地元。

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映画「NO」~まるでコーラのCMじゃないか

 昨夜、竹鶴ピュアモルトで酔っ払いながらYouTubeを見ていて、つい感動してアップしてしまったのが2013年(米)のコカコーラのCM。

 https://youtu.be/jESKp-3fiGM

防犯カメラ=監視カメラがとらえた心温まる映像だけをつないでできたCMだが、一晩寝て起きて、はたとその両義的な意味について思い当り、慌てて削除した。監視カメラが置かれている状況を無意識に容認していくようにも感じられる、と思ったから。

 テレビCMというと思い出すのがガリア・ガルシア・ベルナル主演の映画「NO」。

No
 1988年、南米チリで独裁者ピノチェトの信任を問う国民投票が行われることになり、その時、反対者勢力から投票に行くためのTVCMを作るために雇われた広告マンを描いた実話。人を動かす情報の伝え方とはどういうものか考えさせられる。ガリア・ガルシア・ベルナルというと映画「モーター・サイクルダイヤリーズ」で若き日のチェ・ゲバラを演じた人だが、戦場を駆ける革命戦士になどなれない僕は映画「NO」で彼が演じたレネを支持したい。

 因みにこの映画のホームページに行って監督のインタヴューを読むと、ぼくが思っていたような事とは全く違う制作意図。そこでまた僕は両義的な意味に迷う。資本主義のパラドックス。

 真に知性的であるとはどういう事だろう?

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映画「空気人形」~生命は

 映画「空気人形」(2009年 是枝裕和監督)を見た。一番悲しかったのは心を持ってしまった空気人形に、持ち主が「元に戻ってくれないか?」というシーン。途中、人形(ペ ドゥナ)と老人が会話するシーンでは、“この会話、吉野弘の「I was born」が元ネタだな・・・”と思って見ていたら大好きな「生命は」の朗読が始まってはっと息を飲んだ。

 是枝監督というと「そして父になる」(2013)、「誰も知らない」(2006)で知られるがテーマは一貫している。ただ一貫しているという事だけが分かっていて、それを一言で言い表すことができない。「空気人形」の感想も同じだ。

 「お前の代わりなどいっぱいいる」と言う声が今、社会の至る所に満ちているが、本当に私やあなたや彼や彼女の代わりなどいるのだろうか?

ぺ ドゥナが素晴らしい。

 

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「生命は」 詩 吉野 弘

 

生命は
自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは...

不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする

生命はすべて
そのなかに欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ
 
世界は多分
他者の総和
しかし
互いに
欠如を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせず
ばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄
ときに
うとましく思うことさえも許されている間柄
そのように
世界がゆるやかに構成されているのは
なぜ?
 
花が咲いている
すぐ近くまで
虻の姿をした他者が
光をまとって飛んできている
 
私も あるとき
誰かのための虻だったろう
 
あなたも あるとき
私のための風だったかもしれない

 

 

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河口湖畔で富士山を見た。

 昨日、息子が山形から帰ってきて、今朝、娘が出かけて行った。何故、一人づつ行くんだ?で、その息子、今度は目覚めるなり「以前、タイ人の友達と河口湖畔のほうとう屋に行ったが自分は二日酔いで食えずその事が心残りだよって今日はその店まで行ってほうとうを喰うこととする。」と突然、宣言。珍しく妻も今日は出かけたい気分だと言い、本来家でうじうじしているのが好きな僕も半ば拉致されたように山梨県富士吉田まで行くことに。

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 娘を府中本町駅まで送り、その後、中央フリーウェイへ。1時間もすると雄大な富士山が見え始め「おお、」「うぉう!」「あら~」と三唱することしきり。そして高速を降りると間もなくして件のほうとう屋に到着した。店の名前は「もみじ亭」。ほうとう屋だがそばも有名らしくぼくはそばにする。妻「かぼちゃほうとう御膳」、息子「きのこほうとう御膳」、ぼく「とろろそば御膳」。以前なら家族でこんな風に出かけても運転手はぼく一人だったので酒など御法度だったが、本日は息子の運転なのでお銚子を1本つける。こういう事ができるようになった。酒は"甲斐の開運"。美味。

 食後、湖畔から富士山を眺める。富士山が先頃、世界遺産に登録されたのはその文化的な意味を含んだところが大きいと聞くが(世界文化遺産)、ぼくがいつも思い出すのは金子光晴の「富士」という詩。

 http://www.slownet.ne.jp/note/detail/200905111211-2000000

 金子は戦中、息子を松の煙で燻し、醤油を飲ませ、徴兵を回避させのに成功するが、詩には息子が戦火を右往左往している悪夢を見た時のことが綴られる。そして、最終連はこう。

      雨はやんでいる。
      息子のいないうつろな空に
      なんだ。糞面白くもない
      あらいざらした浴衣のような
      富士。

  日本の詩歌の歴史の中で富士を"糞面白くもない"と書いたのは金子だけだろう。日本人の日本的な情緒性が実は諸悪の正体だと見極めたかのような最後の言葉は、アジアを広く放浪した反骨の人、金子光晴の真骨頂だと思う。

 今日、僕の隣には息子がいた。富士山は美しかった。

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3・11から四年目~味世屋のラーメン

Cai_0435_2   昨日、久しぶりにいわきに帰省した。墓参りがてらに出かけたのだが、目的はもう一つあってそれは『味世屋』のラーメンを食べること。

2011年の正月、行ったら満員で、帰ろうとすると、なんと家の居間に通してくれてそこの炬燵で食べさせてもらい家族皆で感激したものだった。震災直後、小名浜の津波の被害を伝える動画をYouTubeで見るにつけ「あのラーメン屋さん、どうなったのだろう?」と家族でハラハラしていたが、少しして再開されたこを知りいつか必ず食べに行きたいと思っていた。

 言わずもがなだが店舗は新しくなっていて、この間、何があったのかは推して知るべし。ただ肝心のラーメンは以前のままで凄く美味しかった。帰り際「四年前に来て以来です。東京から来ました。」というと「来たらまた寄って下さい。」と言われた。あの地震と津波でもこのラーメンはなくならかった。いわきの復興の事情には複雑な気持ちもあるが、このラーメンは素直に嬉しかった。また行こう。明後日は3・11から四年目。

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Photo

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映画「ハナ~奇跡の46日間」を見た。

Photo_2 映画「ハナ~奇跡の46日間」(韓2012 ムン・ヒョンソン監督)を見る。ハ・ジウォンから入ってぺ・ドゥナに辿り着いたこの感じは、子供の頃、ポール・マッカートニーから入ってジョン・レノンにハマった時に似ている。つまり大衆性を入り口にして深いアートに出会うということなのだけれど。

 映画は1991年、千葉で行われた世界卓球選手権で史上初の朝鮮半島南北統一チームが結成され、当時、世界最強だった中国を倒し優勝した実話を元にしたもの。後半から泣けて泣けて目玉が溶けるかと思った。

Photo_3物語のイデオロギー的な舞台設定もさることながら、これはヒョン・ジョンファ(ハ・ジウォン)の目を通してリ・プ二(ぺ・ドゥナ)を発見するお話。そして互いに反目していた二人が小さな"統一"を成し遂げる話だと思った。

 リ・プ二(ぺ・ドゥナ)選手が左ラケットで、ヒョン・ジョンファ(ハ・ジォン)選手が右ラケットというのもレノン&マッカートニーのよう。因みに実際はぺ・ドゥナは右なのリ・プ二選手が左なので役作りのため直した、というのだからぺ・ドゥナ、恐るべし。
 昨今のアジア外交の悪化の影響からか日本では単館上映しかされなかった、という事実が腹立たしい。もっと多くの人に見られるべき映画だと思う。個人的にはこれがスポーツ映画のNO1。「ロッキー」を更新してしまっった。


↓この映画を解説したYou Tube動画を見つけた。
 
 韓国映画『ハナ~奇跡の46日間』は何故泣けるのか。

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