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映画「空気人形」~生命は

 映画「空気人形」(2009年 是枝裕和監督)を見た。一番悲しかったのは心を持ってしまった空気人形に、持ち主が「元に戻ってくれないか?」というシーン。途中、人形(ペ ドゥナ)と老人が会話するシーンでは、“この会話、吉野弘の「I was born」が元ネタだな・・・”と思って見ていたら大好きな「生命は」の朗読が始まってはっと息を飲んだ。

 是枝監督というと「そして父になる」(2013)、「誰も知らない」(2006)で知られるがテーマは一貫している。ただ一貫しているという事だけが分かっていて、それを一言で言い表すことができない。「空気人形」の感想も同じだ。

 「お前の代わりなどいっぱいいる」と言う声が今、社会の至る所に満ちているが、本当に私やあなたや彼や彼女の代わりなどいるのだろうか?

 ぺ ドゥナが素晴らしい。

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      「生命は」 詩 吉野 弘

 

     生命は
     自分自身だけでは完結できないように
     つくられているらしい
     花も
     めしべとおしべが揃っているだけでは...

     不充分で
     虫や風が訪れて
     めしべとおしべを仲立ちする

 

     生命はすべて
     そのなかに欠如を抱き
     それを他者から満たしてもらうのだ

 

     世界は多分
     他者の総和
     しかし
     互いに
     欠如を満たすなどとは
     知りもせず
     知らされもせず
     ばらまかれている者同士
     無関心でいられる間柄
     ときに
     うとましく思うことさえも許されている間柄
     そのように
     世界がゆるやかに構成されているのは
     なぜ?

 

     花が咲いている
     すぐ近くまで
     虻の姿をした他者が
     光をまとって飛んできている

 

     私も あるとき
     誰かのための虻だったろう

 

     あなたも あるとき
     私のための風だったかもしれない

 

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