映画「白磁の人」~木を植える理由
「木を植えるのは素晴らしい 木が育つのは美しい 大きく育った豊かな木 大きな木は大好きだ 大きな木は大切 だけど僕は思った ぶった切ってやりたい木もあることを」(中川五郎「トーキング烏山神社の椎の木ブルース」より)。
少し前のことになるがゴールデン・ウィークの初日、僕は息子と連れ立って千歳烏山の烏山神社に行った。理由はフォークシンガー中川五郎さんの「トーキング烏山神社の椎の木ブルース」に歌われている例の椎の木を一度この目で見てみたいと思ったから。
歌(語り)の中で何故この木が、ぶった切ってやりたい!と言われるのかは、どうか歌(語り)を聞いて頂きたい。
しかし、今日書きたいのは、時を同じくした頃、半島の地で全く意味の違う木を植え続けた人のこと。
その人の名は浅川巧という。統治時代、朝鮮で植林し、その一方で李朝白磁の歴史的価値と美を見出し、柳宗悦に民芸運動を促した人。あの時代にこんな日本人がいた。江宮隆之著の小説「白磁の人」によって広く知られることになった人だが、小説はその後、映画化もされた。
http://hakujinohito.com/index.html
良く発掘の現場で青磁や白磁の小片が出土しただけで色めき出す人がいるが、そんな時、恥ずかしながら僕はいつもポカンと見ていた。が、この小説を読み、映画を見た後、今後は僕もそうなるのだろう、という予感がある。
映画のTrairerを貼り付けようと思ったが、見ていたら韓国のテレビでこの映画が紹介されている動画を見つけた(音声が悪いが)。映像の中のコメントで“今、日本は韓流ブーム”と紹介されているが、本当にそうだろうか?
巧が世界に先駆けて発見した植林法で植えたのはチョウセンゴヨウマツ。しかし、最近、巷の空気は「烏山神社の椎の木」的だ。
ぼくらは巧が植えた木を植えなければいけない。
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