映画「私の少女」を見た。
映画「私の少女」を見た。
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青い海と風にそよぐ緑の田園。風景はこんなに美しいのに、その中を駆ける傷だらけの少女が、ここにも悪が居直って在ることを冒頭から告げている。
すんなりと暴力が容認されているこの物語の舞台である韓国の小さな漁村は、しかし今の世界の縮図かもしれなくて、主人公はそれを取り締まる側の人間だが、人であるがゆえに自身もまたある欠如を抱えている。
虐待から逃れようとする少女とその事実から逃げない女。二人の孤独が共振してやがて展開する異様な物語に目が離せなくなった。
先頃、マカオで行われたアジア・フィルム・アワードにてぺ・ドゥナがこの『私の少女』で主演女優賞を受賞したと知って見に行ったが、彼女もさることながら目が釘づけになったのは小さな「怪物」を演じたキム・セロンの方。
こうした女性映画を見るたびにいつも罪悪感の中に置き去られる気持ちになるのは何故だろう?男というだけで「道」のザンパノの野蛮さの側に立たされるが、この映画の女二人は狂るったり死んだりしない。これは希望についての映画だ。そしてラストに見つめ合う二人の瞳には色々な意味が含まれていると思った。
監督はこれが初監督であるチョン・ジュリ。とにかく脚本が素晴らしい。今後とも追いかけて見たい作家が一人増えた。
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