바다と海
窓の外の
モノクロの景色に
言葉で色を塗る
二人が話す言葉は
違うから
同じデッサンでも
違う絵が出来上がる
この揺れうごく大きな水を
私は「海」と言い
あなたは「바다」と言う
あなたの「바다」の浜辺を
ガブリエル・バンサンの
絵の犬が駆けて
遠い岬へと
ハングルの
足跡をつけていく
いつか あなたの村で見た
絵に描かれた船は
私の故郷の港に繋がれた
古い船に似ていた
風は바람
雲は구름
雨は비
波は물결
ことばが風を孕むと
船が動き出す
星は별
月は달
夜は밤
朝日は아침해
約束は약속
約束は약속
潮の匂いがする酒場の
窓と思っていたものが
実は
飾られた絵で
いつしか
あなたがそれを「海」と言い
私がそれを「바다」と言う
夏の夕暮れ時
絵の中で
船が
ゆっくりと動いていた
| 固定リンク
「詩集「The letter」 (107)」カテゴリの記事
- My Humberger Stomp(2024.04.13)
コメント